
反復学習とインターリープ学習の違いとは?メリットやデメリット、組み合わせについて解説
幼児期は学習の基礎を築くための大切な時期です。幼児教育において、学習の質と効率をいかに最大化するかは、教育者や保護者にとって常に重要なテーマです。本記事では、反復学習とインターリープ学習について扱います。これらの学習法は、学習内容を記憶に定着させるためのアプローチとして有効ですが、その適用方法と効果には大きな違いがあります。それぞれの学習法の特徴や違いを解説し、子どもの学習にどのように役立つかを探求します。
反復学習とは?
反復学習は、同じ内容を何度も繰り返し学ぶことで知識を定着させる方法です。この学習法は、特に言語や数、形、色などの基本的な概念の学習に有効です。反復により、情報は長期記憶に移行しやすくなります。
反復学習の典型的な例として、アルファベットの文字を毎日書く練習や、数のカウント、単純な算数の問題の繰り返し解決などが挙げられます。また、音楽やリズムを使って言葉や数字を教えることも、楽しい反復学習の形態といえます。
そのほかにも、色や形を覚えるために同じフラッシュカードを何度も使用する、毎日の読み聞かせで同じ物語を繰り返し読む、日常の活動中に数字や文字を指摘して覚えさせるといった反復学習もあります。また、日々のルーチンに組み込むことで、反復学習はより効果的になります。例えば、食事の準備中に使用する食材の名前を繰り返し教える、服を選ぶ際に色や形を識別するなどの活動が含まれます。
インターリープ学習とは?
インターリープ学習は、異なる内容を交互に学ぶ方法です。学習するトピックを切り替えたり、学習する順番を変えたりします。よく似た情報をまとめて勉強するのではなく、近すぎない程度に関連性があるトピックを選び、それらのトピックをさまざまな順番で取り入れることで、さまざまな観点を混ぜ合わせて学習することができます。※1
このアプローチは、幼児が新しい情報をより深く理解し、異なるコンセプト・概念間の関連性を学ぶのに役立ちます。インターリープ学習は、思考力と問題解決能力の向上にも寄与します。
インターリープ学習の例として、一日のうちに読み書き、算数、科学、アートの活動を交互に行うことが挙げられます。具体的には、絵本の読み聞かせをした後に、その物語に関連する実験や芸術活動を行うのもよいでしょう。そうすることで、幼児は読んだ内容と実際の活動を結びつけて理解を深めます。
また、植物の成長について学んだ後に、実際の園芸活動に参加させたり、絵本を読んだ後に関連する美術活動を行ったりするのもよいでしょう。歴史的な物語を読んだ後に、その時代のゲームや食事を体験するのもおすすめです。
反復学習とインターリープ学習のメリット・デメリット
反復学習とインターリープ学習はいずれも有効な学習方法ですが、それぞれにメリットとデメリットがあります。
反復学習のメリット
- 基本的な知識やスキルの習得が早い
- 情報を長期記憶として定着させやすい
- 簡単に実施でき、特別な計画が不要
反復学習のデメリット
- 学習が単調になりがちで、興味を失いやすい
- 異なるトピック間の関連性を見出しにくい
インターリープ学習のメリット
- さまざまな知識間の関連性を理解しやすい
- 問題解決能力を高める
- 学習がよりダイナミックで、興味を持続しやすい
インターリープ学習のデメリット
- 計画的な実施が必要で、実行が複雑になりがち
- 初期は学習進捗が遅いと感じることがある
反復学習とインターリープ学習の組み合わせ
子どもの学習方法として、反復学習とインターリープ学習のどちらを適用するかは、学習目標と子どもの学習スタイルを考慮して決めるのがよいでしょう。
宮崎大学の尾之上高哉らの研究によると、交互練習の機会が増えるに従って、学習内容の定着が進むことが示されています。しかし、まずは交互練習のなかで交互に学習する各課題について、基本的な知識を理解する学習段階を保証したうえで、その知識を活用する練習を交互練習で行う学習段階につなげる必要があるとしています。※2
同じように、反復学習によって基本的なスキルを確実に身につけさせる一方で、インターリープ学習によって複数のトピックを結びつけ、総合的な理解を促進するのがおすすめです。これらの学習方法を組み合わせることで、教育効果を高められる可能性があります。
新しい単元を学ぶ際は、まずは反復学習を中心に、学習する課題について基本的な知識の理解を深めます。次に、その知識を活用する練習する段階になったら、インターリープ学習によって異なる単元やトピックを統合することで、より高いレベルの理解と応用能力を育むことができます。例えば、算数の基本的な問題を繰り返し解いた後、その内容を使用した科学実験や料理など、異なる単元の活動を行うのもよいでしょう。
反復学習とインターリープ学習を理解し、組み合わせて学習効果を最大化しよう
反復学習とインターリープ学習は、それぞれ異なる学習目標や状況において最適な効果を発揮します。これらの学習法を柔軟に適用し、子どもの学習スタイルや興味、必要とするスキルに応じて選択することが重要です。最終的には、これらの学習方法を組み合わせることで、知識の定着、理解の深化、そして問題解決能力の向上を図ることができます。教育者だけでなく保護者であるお父さん・お母さんも、これらの学習法を理解したうえで適切に指導することが、子どもの学習効果を最大化する鍵となります。
参考資料
※1 ヤナ・ワインスタイン (著), メーガン・スメラック (著), オリバー・カヴィグリオリ (著), 山田祐樹 (監修). (2022). 認知心理学者が教える最適の学習法 ビジュアルガイドブック オンデマンド. 東京書籍.
※2 尾之上高哉, 井口 豊. (2020). ブロック練習と交互練習の単独効果と複合効果の比較検討. 教育心理学研究, 68 (2), 122-133.