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国立小学校の特徴とは?私立小学校や公立小学校との違いや気になる学費、試験の特徴についても解説

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国立小学校は、質の高い教育内容を経済的な負担が比較的少なく受けられるのが特徴です。特に学費面では私立小学校よりもメリットが多く、公立小学校と比べて特色のある先進的な教育内容を受けられることから、毎年高い倍率を誇っています。その一方で、出願にあたっては通学区域や通学時間の制限があること、一次選考で抽選があることなど、事前に知っておきたい情報もあります。小学校選びの参考になるよう、この記事では国立小学校のメリットやデメリットなどをご紹介します。

国立小学校とは

「国立」とありますが、国立小学校を運営しているのは国ではなく国立大学法人であり、校名に「〇〇大学附属」や「〇〇大学教育学部附属」とついています。そのため、国立小学校の授業には、大学で研究されている教育理論や新しい教育手法などが積極的に取り入れられることがあります。
また、教員を志す学生たちの教育実習も活発で、教員の専門性や教育内容の質が高いのも特徴のひとつです。授業の進め方については担任教諭や教科担任の裁量が大きく、必ずしも学習指導要領や教科書に沿った授業が行われるわけではありませんが、その分、自由度が高く先進的な授業を受けることができるといえます。
国立小学校では、公開授業を行ったり全国の教員が見学に訪れたりする機会も少なくありません。国立小学校で行われた教育についての研究結果は、文部科学省によって学習指導要領や教育課程に反映され、全国の公立小学校へ広まるのです。

2023年度現在、国立小学校は全国で67校あります。私立小学校の数は全国で244校、公立小学校は全国で18,669校なので、国立小学校の割合はわずか0.3%程度と極めて少ないことがわかります。※1

小学校の数

そのため倍率は非常に高く、年によって変わりますが、数倍から数十倍にまでのぼる小学校もあります。
例えば、筑波大学附属小学校では令和4年度の募集児童数は男女計128名でした。志願者数は男女計4,018名だったので、抽選形式の一次選考前の倍率は31.4倍ということになります。筑波大学附属小学校では、令和5年度も募集児童数は男女計128名と公表されているので、同じくらいの倍率になることが見込まれています。※2

国立小学校のメリット

国立小学校のメリット

国立大学附属として運営されていることによるさまざまなメリットが、国立小学校にはあります。私立小学校や公立小学校と比較しながら解説します。

質の高い教育・最先端の教育が受けられる

国立小学校では、運営元である大学や教育学部が研究している教育理論や教育手法を取り入れた授業が行われています。教育内容や各教科の目標などについて定められた学習指導要領に関する新しい試みも、まずは国立小学校で実施され、その後全国の公立小学校へと広まっていきます。そのため、国立小学校では最先端の教育が受けられるといえます。

授業を担当する教員によって、授業の進め方や授業内容が異なるのも国立小学校の特徴です。複数の教科を横断するような授業や、体験学習などが取り入れられることもあります。

教員の質が高く、教育実習も活発

国立小学校には地域でもトップクラスの教員や、最新の教育手法や教育理論の研究に熱心な指導力の高い教員が多いのが特徴です。学校によっては教科担任制が採用されており、担任教諭が全科目を担当する公立小学校と比べて、より専門性の高い教員の授業を受けられます。

また、運営元が大学や教育学部なので、将来教員になりたいと考えている大学生が学ぶ場所として教育実習も活発に行われています。公立小学校や私立小学校にも教育実習はありますが、国立小学校はより期間が長く、年間で約2か月にわたって教育実習が行われます。児童たちにとっても若い先生方との交流は刺激があり、さまざまな学びも得られると考えられます。

学費を抑えられる

公立小学校と同様に、国立小学校では入学金や授業料などはかかりません。もちろん、通学にかかる交通費や学校指定の制服などを購入する諸費用はかかりますが、私立小学校と比べると学費を抑えることができます。

一般的には、国立小学校に通わせるための諸費用として年間で10~30万円ほどかかるといわれています。また、デメリットの部分でも後述しますが、中学受験などを見据えて塾や家庭教師を活用する場合は、通塾代や家庭教師代がかかる点にも注意しましょう。

社会性を身につけやすい

少子化が進んでいる昨今では、公立小学校の児童数は減少傾向にあります。例えば、東京都では令和4年度を境に減少に転じ、令和9年度には約4万8千人が減って約55万人になると予測されています。※3

そのほかの地域においても、公立小学校の児童数は人口の偏り具合によって大きく異なり、クラスの人数が定員より少ないケースもあります。一方、国立小学校は例年倍率が高く、一クラスの定員が割れることはありません。たくさんの人と関わることで、人間関係について学び、社会性を身につける機会は多いと考えられます。毎年たくさんの教育実習生が訪れるため、さまざまな教員と接する機会も多いです。運動会や文化祭などの行事もたくさんの児童が力を合わせて華やかに行われますし、生徒会が主導する行事が行われるなど、子どもたち自身が活発に活動することができます。

いじめや学級閉鎖に対する意識も高く、さまざまな対策が行われています。各学校のホームページに具体的な取り組みが掲示されていることもあるので、ぜひチェックしてみてください。

国立小学校のデメリット

国立小学校のデメリット

このように国立小学校にはさまざまなメリットがありますが、それらの特徴も裏を返せばデメリットとなり得ます。国立小学校への入学を検討するにあたって注意しておきたいポイントを、私立小学校や公立小学校と比較しながら解説します。

通学区域が設けられている

国立小学校では「通学区域」が定められていることがあります。居住地域や学校までの通学時間が条件に満たない場合は、志願することができません。これは、子どもたちが安全かつ負担なく6年間通学できるようにするためです。

そもそも国立小学校は数が少ないため、基本的には電車やバスで通学することが多いです。公立小学校のように集団登校があるわけではなく、学校によっては入学後当面の間、保護者による送り迎えが必要な場合もあります。自宅から遠すぎると通学の負担が大きくなるため、通学区域を確かめるのはもちろん、通学にかかる費用や通学時間についても慎重に検討しましょう。

また、公立小学校のように近所の子どもたちがみんな同じ学校へ通うというわけではないので、同級生や友達が近所にいないことが多いです。受験の結果によっては、兄弟姉妹が別の学校になることもあり、通学や学校行事などが大変になるケースもあります。

教員が変わることによる教育内容の変化が大きい

先進的な教育内容を受けられるというメリットの一方で、教員の教え方によって授業の内容や進め方が大きく異なる点は、デメリットと受け取られることもあります。教科書を一切使わない授業や、宿題を出さない教員、低学年のうちは成績表すらない学校など、慣れるまで大変なケースもあるでしょう。担任が変わると授業のやり方も大きく変わるので、その先生のやり方にまた慣れていく柔軟性が求められます。また、教科書に沿った授業ではなかった場合は、中学受験に向けて塾や家庭教師などでフォローが必要なケースもあります。

また、国立小学校は公立小学校と同様、教員の異動があります。授業のスタイルに変化が多く、先生が異動することにも不安がある場合は、教員の異動が少ないとされる私立小学校も検討するのがおすすめです。

内部進学には定員があり、中学・高校へ進学するための試験がある

基本的にエスカレーター式で内部進学ができる私立小学校とは異なり、国立小学校では全員が内部進学できるわけではありません。同じ附属の中学や高等学校へ進学するための試験があります。無事に内部進学できたとしても、中学受験をして新たに入学してくるのは比較的偏差値が高い優秀な生徒たちであり、高校進学に向けてさらなる切磋琢磨が予想されます。そのため、低学年のうちから塾に通わせたり家庭教師を雇ったりするご家庭も少なくありません。学費が比較的安いというメリットの一方で、通塾代がかかる可能性についても考慮しておきましょう。

内部進学をせずほかの私立中学校へ進学する場合も、中学受験をすることになります。先進的で質の高い教育内容を受けられる一方、中学受験対策に配慮した学習内容やスケジュールになっているとはいえないため、塾や家庭でのフォローが必要となります。

学校行事やPTA活動など保護者の負担が大きい

国立小学校では、学校行事やPTA活動など保護者が学校運営に関わる場面が多い傾向にあります。共働き家庭では、ご両親が協力しあったり有給を使ったりしながら対応する必要があります。入学後にどれくらいの負担があるかは、在校生や卒業生、学校などにあらかじめリサーチしておくと安心です。

国ではなく国立大学法人が運営元であり、入学金などがない分、私立小学校と比べると運営予算はあまり潤沢とはいえません。もちろん学校運営に影響があるわけではありませんが、保護者やOBが後援会を作り、寄付金を募るなどして予算を補っている学校もあるようです。改築や設備など、子どもたちの学習環境を支える役割の一端を保護者が担っているといえます。

国立小学校の試験の特徴

ここからは、国立小学校を受験するにあたって知っておきたいポイントを3つご紹介します。細かい点は志望校によって異なりますので、必ず学校ごとの情報収集をしてください。

抽選による選考がある

国立小学校のなかには、受験の公平性を期すために抽選による選考が行われている学校もあります。特に倍率が数十倍と非常に高い学校では、二次試験の後にも抽選が行われることもあり、受験対策をしっかり行ってきたとしても合格は運次第といえます。努力が報われず抽選で落ちてしまった場合に備えて、私立小学校を併願するか、受験せず公立小学校へ行くことも想定しておきましょう。

行動観察が重視されている

国立小学校ではペーパー試験や運動、絵画・工作や面接などさまざまな試験内容が出題されています。特に重視される傾向にあるのが、行動観察です。

行動観察では私立小学校と同様、コミュニケーション能力や社会性などが評価されているとされています。ほかにも、国立小学校は最先端の教育方法や教育理念を実践する場でもあるので、子どもたちには手を挙げて発言し、授業に熱心に参加する積極性や活発性が求められます。また、教育実習生が多いことから、まだ指導力を磨いている最中の若い先生であっても静かに集中して話を聞き取れるかが重要です。バスや電車などで通学するケースも多いため、公共の場におけるルールやマナーが守れるかどうかも注目されていると考えられます。

もちろん、行動観察の評価基準は公開されていませんが、情報収集を怠らず、志望校の求める児童像にあわせて対策を進めましょう。

関連記事:小学校受験対策「行動観察」編 どんなポイントが評価される?ご家庭でできる行動観察対策のポイントも解説

面接はご両親がメインの学校も

国立小学校ではほとんどの学校で面接による試験が行われています。お子さまへの面接だけの学校もありますが、親子面接が行われる学校や、保護者だけの面接が行われる学校もあります。保護者面接が行われる場合は、ご両親の教育方針やお父さん・お母さんの人間性なども含めて総合的にみられていると考えられます。特に、国立小学校では保護者がPTA活動や学校行事にも関わる機会が多いため、そのあたりの協力が得られそうかどうかを聞かれることもあるかもしれません。

いずれにしろ、面接対策はお父さん・お母さん・お子さまが一丸となって臨む必要があります。幼児教室に通っている場合は先生にも相談しながら、しっかりと面接対策をしましょう。

国立小学校は通学区域をよく確認し、私立併願も視野に入れることが大切

国立小学校に通わせたいと考えているなら、まずは志望校の通学区域に含まれているかどうかを確認しましょう。倍率が高く試験の難易度も高いため、入学試験の対策万全にすることは大切ですが、一次選考で抽選に外れてしまう可能性もあります。私立小学校への併願も考慮して、受験のプランを考えておきましょう。

参考資料

※1 一般財団法人日本私学教育研究所 学校数の推移
※2 筑波大学附属小学校 令和5年度入学児童募集
※3 令和4年度教育人口等推計(速報値)の概要について(東京都公立小学校児童数・公立中学校生徒数の推計)

水島 なぎ

水島 なぎ

「書く・編む・正す ことばのよろず屋」を掲げる、フリーランスのライター・編集者。1985年生まれ、京都府在住。同志社大学文学部文化学科美学及び芸術学専攻卒。出版社で資格学習や学参分野のテキスト・問題集を企画編集していた経験をもとに、教育・育児、学術分野などのWebメディアの記事執筆や編集、書籍の編集を手がける。2017年に長女を出産した一児の母。

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