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超少人数制でしっかりと向き合う。「にじいろ幼児教室」が大切にする、自発的な学びとは

吉祥寺駅から徒歩10秒という好立地にある、「にじいろ幼児教室」。先生1人に対して1クラス3~5人という超少人数制で、2012年の開室から10年以上が経つ現在も、口コミによる人気が絶えません。

にじいろ幼児教室の代表と講師を務めるのは、福井綾子先生です。あたたかい人柄と、子ども一人ひとりと丁寧に向き合う姿勢が保護者から支持されており、都内の私立小学校や国立小学校に毎年多くの合格者を輩出しています。

今回は福井先生に、にじいろ幼児教室を開室した経緯や特に得意とする小学校、教室で大切にしている考え方などを伺いました。

「できた!」「嬉しい!」を大事にしたい

――もともと幼稚園や大手幼児教室に勤めていらっしゃった福井先生ですが、これまでどれぐらいのお子さんを担当されてきたのでしょうか。

福井幼稚園で担任をしたり、大手幼児教室で担当したりしたお子さんも含めると、合わせて500名以上です。

――あらためて、にじいろ幼児教室を開室したきっかけを教えてください。

福井大手幼児教室に勤めていたとき、小学校受験にあたってもともと成績が良く、できることも多いお子さんはどんどん伸びていく一方で、そうでないお子さんが置いていかれてしまう姿をよく見てきました。たとえば早生まれのお子さん。幼児期の1年の差って大きいので、「もう少し待ってあげられたらできるのにな」とか、「もう一声、二声掛けてあげられたら、この子はもっと伸びるんだろうな」と、いつももどかしく感じていたんです。

小学校受験ではペーパーテストで時間を測られることが多いので、幼児教室でも「ここからここまでの問題を1分間でやりましょう」と練習するんですね。そのとき、通常は1分経ったら「やめ!」と言って終わってしまうんですけど、うちの教室では、1分経過した時点であと少しで終わりそうなお子さんがいたら、1分10秒ぐらいまで待っちゃうんです。するとお子さんが、「最後までできたよ!」って嬉しそうに言うんですよね。私も「そうだね! 頑張ったから、最後までできたね!」って声を掛けてあげます。こういう「小さな“できた”を大事にしてあげたい」というのが、大手を辞めて今の教室を開いた一番の理由かもしれません。

――「超少人数制」のにじいろ幼児教室ならではのメリットは何でしょうか。

福井大手教室の場合、もちろん教室さんによるので一概には言えませんが、せっかく良い先生に出会えたとしても、学年や曜日によって先生が変わることがあるんですね。うちは講師が私ひとりなので、お子さん一人ひとりの成長をしっかりと把握しながら、それぞれの発達に合わせて「点」ではなく「線」で見て差し上げることができます。

3~5人というクラスの人数は、私自身が「今、お子さんがどのような状況なのか?」を把握できるベストな人数でもあるんです。

少人数制(写真:にじいろ幼児教室)

また、幼稚園教諭の経験があるので、お子さんが幼児教室に通っている“以外”の時間、つまり幼稚園や保育園で、年間を通してどのように過ごしているのか把握しているのも強みです。

――にじいろ幼児教室に通っておられるのは、主に中央線沿線エリアに住むご家庭が多いそうですが、特に得意とする小学校はどこでしょうか。

福井中央線沿線には私立の小学校がいくつかあるのですが、なかでも立教女学院小学校や成蹊小学校、桐朋学園小学校、早稲田実業学校初等部などを目指すご家庭が多い印象です。立教女学院さんは近年倍率が7~9倍なんですが、うちに通うお子さんの約半数が合格されています。なので、得意な小学校として挙げるなら、やはり立教女学院さんですね。あとは、桐朋学園さんも合格率はかなり高いです。

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にじいろ幼児教室 オリジナル教材(写真:にじいろ幼児教室)

――小学校受験コースでは「ペーパー指導」「巧緻性・生活力」「発信力・表現力」などさまざまな対策をされていますが、福井先生が意識していることは何ですか。

福井まず、レッスン全般で意識しているのは、お子さんをただの「お客さま」にしないこと。私が一方的に話すだけにならないよう、「じゃあ次、◯◯くんどう思う?」「一緒に考えよう」というように、とにかくお子さんたちを巻き込んで、発言してもらっています。

また、面接練習はかなり細かくやります。特に女子校は面接の比重が大きいので、お父さまとお母さまにはいつも「キャラクターづくりをしましょう」とお話しさせていただいていますね。モンテッソーリコースから長く通っていただいていると、私もご家庭の様子がよくわかってくるので、「お父さま、そういえばこんなことされていましたよね?」「そのエピソード、入れましょう!」などとアドバイスすることもできます。

モンテッソーリ教育をベースに、自発的に学ぶ力を

――モンテッソーリコースは1歳半~年少さん向け、小学校受験コースは年中さん・年長さん向けだそうですが、だいたい何歳ごろから通うお子さんが多いのでしょうか。

福井モンテッソーリコースから通っていただく方が多いですが、年中さん、年長さんから来ていただく方もいます。年中・年長の時期になると、これから身につけることよりも、「それまでの経験」が合否を分けてしまうことがあるんです。特に「こうしなさい、ああしなさい」と押さえつけられてきたお子さんほど、「自分で考えてやってみてごらん」と言われても、何をしたらよいかわからないので、まずはその感覚をほぐすところからスタートしなければなりません。

その点、モンテッソーリコースで「自己選択をして、自分自身で達成感を感じる」という土台づくりをした後に小学校受験コースに入っていただくと、自分の力で「1」あるものを「2」にも「3」にも増やしていけるので、スムーズに進むお子さんが多いように感じます。

もちろん、年中さん以降に参加された場合も全力でサポートしますのでご安心ください。

――福井先生は、モンテッソーリ教育総合研究所0~3歳講師免許も持たれていますが、なぜ小学校受験コースに加えてモンテッソーリコースを用意されたのでしょうか?

福井開室当初は小学校受験コースのみでしたが、当時うちに通ってくださっていた子のなかに、手先がとっても器用で、特に「手首」の使い方が上手なお子さんが3人いたんです。子どもの成長発達は体の中心から外側へ向かっていくので、普通は手首の発達って一番最後なんですよね。

聞くと、3人ともモンテッソーリ教室に通っていたそうです。ある男の子は手首をくるくると回しながらサインペンできれいな丸を書き、ある女の子はお箸がすごく上手でした。このベースをつくったモンテッソーリって優秀だな、と思ったのが、免許を取得したきっかけです。

モンテッソーリ教具(写真:にじいろ幼児教室)

――モンテッソーリコースは、小学校受験を目指す方のための内容になっているのでしょうか。

福井小学校受験にも使えそうな教具をピックアップしてはいます。ただ一方で、モンテッソーリも小学校受験も、同じ幼児教育のひとつだと私は考えているんです。

たとえば、モンテッソーリコースで季節のお花を生けたとしたら、小学校受験コースでは「一緒にお花の名前も覚えましょう」というイメージです。小学校受験のために必要だからというよりも、「幼児期の今」だから必要なことを、小学校受験にも応用できる形で取り入れています。

受験対策のみならず、子育てのパートナーでありたい

――これまでの福井先生のご経験で、変化が著しくて印象に残っているお子さんはいますか?

福井桐朋学園小学校に合格したある男の子がいたんですけど、彼はもともとお勉強があまり好きではなくて、工作がすごく好きだったんです。なので、まずは彼が好きな「乗りもの」の数を数えたり、ハサミで何か切ったり……という風に、全部その子の「好き」から持っていくようにカリキュラムを進めました。

結局、最初に受験した学校では、緊張で面接室に入れず不合格になってしまったのですが、後日「先生たち、Aくんに会うの楽しみにしてたから、悲しかったって言ってたよ?」と伝えたら、「そうだよねぇ……」って。自分で「良くなかった」と言っていました。もう一度受けると決めて再受験した結果、合格をいただいたんです。試験に行くってやっぱり、大人でも緊張しますよね。子どもたちも、いつもと違う行動が起きてしまうことが多々あるんです。

そんなときに備えて、私は試験当日も朝から教室で待機しています。最後までお子さんと保護者の方に側で寄り添ってあげられるのは、少人数制だからできることだと感じますね。


――にじいろ幼児教室にぜひ来てほしい、というご家庭はありますか? また、入室を検討中の方にメッセージがあればお願いします。

福井情報にあふれた社会で、何が正しいのか、何が子どもに合うのか? と子育てに悩むお父さま、お母さまが大勢いらっしゃいます。私自身が子育て真っ只中だったころは、まだスマートフォンもなく「調べて情報を取る」ことができない時代で、孤独を感じていたんですね。「こんなときどうしたらいいの?」と身近に相談できる場所があったらいいのにな、と思ったのも、この教室を始めたきっかけのひとつなんです。

ですので、子育てで心細さを感じている方には「一緒に子育てしましょうね」という気持ちで私も寄り添います。あとは、大手幼児教室に一度行ったけれどついていけなかったというお子さん。保護者さまのなかには「うちの子はだめなのでは……」と自信をなくされてしまう方も多いんですけど、小学校受験においては必ずしも、ハキハキ話せて、運動もできて、ご挨拶も上手で……といった「完璧さ」が求められるわけではありません。うちから合格するお子さんを見ていてもよくわかります。

子どもなので、いびつな形でもいいんです。それを受験の日までにぴかぴかに磨き上げて、「こんなに素敵でしょ?」って言ってあげられるような小学校受験にしましょうと、これから出会うお子さんや保護者のみなさんにはお伝えしたいですね。
(文:原由希奈)

福井綾子(ふくい・あやこ)

にじいろ幼児教室 代表
幼児教育に携わり20年以上
幼稚園教員、受験教室、家庭教師を経験し、延べ500組以上の親子の子育て、小学校受験を応援してきました。
にじいろ幼児教室は12年目を迎えました。
自身の息子2人も小学校受験、中学校受験、大学受験を経験
モンテッソーリ教育綜合研究所0〜3歳講師免許、キッズコーチングアドバイザー資格