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幼児のプログラミング教育、メリットと年齢は?おすすめ教材と教室も紹介

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2020年度から小学校のプログラミング教育が必修化されたのをきっかけに、幼児期のプログラミング教育にも関心が集まっています。一方でプログラミングは、現代のお父さん・お母さんの幼少期には存在しなかった教科でもあり、何歳から始めるのがベストなのか、どのような教材を選べばよいのか、迷われるご家庭も多いでしょう。
この記事では、幼児期からプログラミング教育を行うメリットや年齢、おすすめのプログラミング教材・教室をご紹介します。

小学校での必修化で注目集まる、幼児のプログラミング教育

近い将来、米国において今ある職業の47%がAIに取って代わられる可能性があることが、オックスフォード大学のマイケル・オズボーン准教授とカール・ベネディクト・フレイ博士の研究で明らかになりました※1。日本でも文部科学省による教育改革の一環として、2020年度の新学習指導要領実施により小学校でプログラミング教育が必修化されたほか、GIGAスクール構想で児童一人ひとりにタブレットが配られるなど、AI社会に活躍できる人材を育てるための動きが活発化しています。

プログラミング的思考

教育改革で重要視されているのが、「プログラミング的思考」を育むことです。文部科学省はプログラミング的思考を下記のように定義しています。

自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組合せが必要であり、一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、記号の組合せをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、といったことを論理的に考えていく力※2

プログラミングというと、「Python」や「Java Script」のような“プログラミング言語”をイメージする方も多いと思いますが、プログラミング的思考はあくまでもその基礎となる数学的思考や、ものごとを論理的に考える力のことです。そのため、一部の私立小学校ではプログラミングを「授業」として取り入れていますが、大半の小学校では指定の教科書が存在せず、既存の教科の授業のなかに横断的に取り入れています。

幼児期からプログラミングを学ぶメリット

そのような時代背景のなか、プログラミングに関する幼児向けのおもちゃ・アプリも続々と登場しています。一部の幼稚園や保育園では、独自にプログラミング教育を取り入れている園もあります。

幼児期にプログラミング教育を取り入れる主なメリットには、次の5つがあります。

  1. 小学校の授業の予行練習になる
  2. 感性が豊かなため、吸収が早い
  3. 数学的考え方(論理的思考)が体感で身につく
  4. 比較的自由時間が多く、じっくりと取り組める
  5. 頭がやわらかいため、創造力が育まれる

プログラミングは水泳やピアノなどと違って成果が見えにくく、継続のもととなる一番の要素は「お子さまの興味関心」となります。幼児期からあらゆる教材に触れておくことで、お子さまが何に目の色を光らせるのかを見極めることができ、小学校で親子ともにつまずきにくくなるでしょう。

プログラミング教材を使いこなせる年齢は、早くて4歳から

プログラミング教育に「◯歳から始めるべき」という線引きはなく、あくまでもお子さまが興味をもった年齢で始めるのがベストです。

しかしながら、お父さん・お母さんがプログラミングに関するおもちゃやアプリ、教材をご家庭で取り入れることで、お子さまが興味をもつ“機会”を与えてあげることはできます。プログラミング教材を無理なく使いこなせる年齢という意味では、早くて4〜5歳(年中)、ちょうどよいのが5〜6歳(年長)だといえるでしょう。

幼児におすすめのプログラミング教材4選

幼児期のプログラミング教育は、お子さまが「自ら興味をもって楽しむこと」が大切です。遊びのなかからプログラミング的思考が身につく教材を選び、お子さまがAI社会で生きていくための土台づくりをしましょう。

幼児向けのプログラミング玩具・教材には、主に次の3つの種類があります※3。

  • プログラミング型
  • ものづくり
  • 目的達成型
    • プログラミング型は、アプリやパソコンを使うもの。ものづくり系は、部品を組み立てるなどして空間認識力を高めるもの。目的達成型は、ある目的を達成するためにその解決法を探るものです。それぞれのおすすめを紹介します。

      ラーニングリソーシズ「4歳からのマイプログラミングペット」

      ラーニングリソーシズ「4歳からのマイプログラミングペット」

      【プログラミング型】マイプログラミングペットは、世界80か国に子ども向け教材を提供するアメリカのおもちゃメーカー、ラーニング・リソーシズ社発のプログラミング玩具です。お子さまの興味を惹くかわいらしい見た目が魅力で、「うさぎ」と「いぬ」の2種類があります。

      パソコンやスマートフォンは必要なく、絵本のストーリーに沿って、プログラミングペットの「ボッパー」を動かします。ボッパーの背中にはキーがついており、事前にこのキーで方向をプログラミングしておくことで、ボッパーを動かせるしくみです。むずかしいコーディングは必要ないため、幼児期のお子さまが遊びながらプログラミング的思考を身につけることができます。

      Hape(ハペ)「ロボットファクトリードミノ E1057」

      Hape(ハペ)「ロボットファクトリードミノ E1057」

      【目的達成型】ロボットファクトリードミノは、世界60か国以上で愛されるドイツの木製知育玩具メーカー、ハペ発のSTEAM教育玩具です。木製ボールを飛ばせるジャンプ台や、両面使えるスロープ、中を通るボールが見えるトンネルなど、お子さまが“考える”要素がたっぷり詰まっています。試行錯誤しながらドミノが倒れる「しくみ」を作ることで、プログラミング的思考が身につきます。

      ワンダーラボ「ワンダーボックス」

      ワンダーラボ「ワンダーボックス」

      【プログラミング型×ものづくり】4歳〜10歳を対象にしたワンダーボックスは、「世界中の子どもが本来もっている知的なわくわくを引き出す」をコンセプトに教材を開発するワンダーラボによる、月々3,700円(税込)〜のサブスクリプション型教材です。自宅にあるデバイスで使えるアプリとトイ教材で、お子さまの思考力・創造力・意欲を引き出します。

      アプリは「テクロンとひみつのけんきゅうじょ」や「たいせん! ボードゲーム」など、ゲーム感覚でプログラミング的思考が身につくものばかり。プログラミング教室へ通うのに比べ、家計の負担が軽いことも魅力です。

      Scratch Jr(スクラッチ ジュニア)

      Scratch Jr(スクラッチ ジュニア)

      【プログラミング型】「Scratch Jr」は、タブレットやパソコンの画面上でブロックを動かしながら、体感でプログラミングの基礎となる考え方を学べるビジュアルプログラミングソフト「Scratch」の幼児版です。推奨対象年齢は5~7歳で、無料で遊ぶことができます。

      メインとなるのはゲーム制作で、キャラクターの猫にサッカーをさせたり、レースゲームを作ったりしながら、プログラミングの概念を学びます。Scratchは小中学校の授業のほか、民間のプログラミングコンテストや大会でも採用されることが多いため、使いこなせるだけでお子さまの可能性が広がるでしょう。

      幼児期におすすめのプログラミング教室5選

      より本格的にプログラミングを学ばせたいご家庭は、プログラミング教室に通うのもおすすめです。ひとくちにプログラミング教室と言っても、Scratchのようなビジュアルプログラミングソフトを採用する教室から、ゲーム制作が主となる教室までさまざまです。

      お子さまの性格や好みによっても異なりますが、なかでも「ロボットプログラミング」を採用する教室は、幼児のお子さまでも視覚的に興味を抱きやすいでしょう。ロボットプログラミングを幼児から学べる教室を紹介します。

      LITALICOワンダー「ロボットクリエイトコース」

      LITALICOワンダー「ロボットクリエイトコース」

      都市圏を中心に20校を展開するLITALICOワンダーは、「IT×ものづくり」をテーマに子どもの創造力を解き放つプログラミング教室です。ゲームプログラミングやロボット制作など5つのコースがあり、そのうち年長から受けられるコースには「ロボットクリエイトコース」があります。

      「ロボットクリエイトコース」では、レゴ社のロボット教材「レゴ® エデュケーションSPIKE™ ベーシック」を使用します。乗り物が好きなお子さまは車や飛行機を制作したり、機械の操作が気になるお子さまはビジュアルプログラミングを組んだりと、全員が同じカリキュラムをこなすのではなく、お子さまの好みや習熟度に合わせて授業を設計するのが特徴です。オンラインコースなら、全国どこからでも受講できます。

      アーテック 自考力キッズ

      アーテック 自考力キッズ

      自考力キッズは、大手教材メーカーの株式会社アーテックが運営するプログラミング教室です。アーテックは全国4万の幼稚園・保育園、2万の小学校に教材を提供し、2018年には経済産業省「ものづくり日本大賞特別賞」を受賞しています。

      自考力キッズの特徴は、パズル・ロボット・プログラミングの3種類のカリキュラムを2年間かけて行うこと。オリジナル教材を含む算数ブロックや図形パズル、モーターやギアを使って、お子さまの空間認識力や集中力、表現力などを養います。

      北海道から沖縄まで500以上の教室があり、ロケーションを選びやすいのもメリットです。年長以上での受講が推奨されています。

      ロボ団

      ロボ団

      ロボ団は、家電量販店チェーン・株式会社エディオンの子会社である、夢見る株式会社が運営するロボットプログラミング教室です。年長から小学2年生ごろまではロボットの組み立てを通じてプログラミングの基礎を身につけ、3年生以降はパソコンにも触れていきます。ロボットプログラミングは「教材費が高額になりやすい」という特徴がありますが、ロボ団では教材をレンタルしているため、家計への負担をおさえることができます。

      ロボ団の教材は、レゴ社が開発したSTEAM教材「レゴ®エデュケーション SPIKE™ プライム」。センサーやモーターなど、通常盤のレゴ®にはない付属品が満載で、お子さまもきっと興味を惹かれることでしょう。

      ヒューマンアカデミージュニアロボット教室

      ヒューマンアカデミージュニアロボット教室

      ヒューマンアカデミージュニアロボット教室は、2009年に開講した日本のプログラミング教室のパイオニア的存在です。教室は全国に1,600以上(2022年6月時点)あり、どこに住んでいても通いやすいことが魅力です。

      カリキュラムや教材は、ロボットクリエイターとしてメディア出演歴多数の高橋智隆氏が監修。「基本製作」と「応用実践」をくりかえしながら、プログラミングの基礎のほか、科学にまつわるリテラシーを養います。満5歳から小学生6年生までの最長7年間に加え、さらに3年間の上級コースもあり、10年間じっくり通うことができます。

      レゴ®スクール

      レゴ®スクール

      レゴ®スクールは、レゴ社の教育部門「レゴ®エデュケーション」のフランチャイズ企業などが運営する、3歳から通えるロボット教室です。「遊びを通した学び」で、生涯学習者を育てることを重視しており、ロボット・ブロック教材の種類が豊富なことが特徴です。幼児期は「プログラミングトレインセット」や「くるくるゆうえんちセット」など、つい手に取って遊びたくなるような教材を使用します。

      教室の内装は、デンマークのレゴ本社が開発したデザイン。わくわくする空間で、お子さまの探究心をくすぐることができます。

      お子さまが興味をもたなければ「やめる・変える」勇気も

      幼児期のプログラミング教育は、「お子さま自身が楽しいこと」が大切です。お父さん・お母さんが用意した教材に夢中になるお子さまもいれば、まったく興味を示さないお子さまもいるでしょう。

      AI時代に必要とされるスキルのひとつに、リベラルアーツという「物ごとをもっと知りたいと思う力」があります。お子さまのなかに、「プログラミングをもっと学びたい」という気持ちが自然に湧き上がるためにも、ひとつの教材や教室に固執せず、ときにはやめたり変えたりする勇気を出すことも大切です。

      参考資料

      ※1 Frey, C. B., & Osborne, M. (2013). The future of employment.
      ※2 文部科学省 小学校段階におけるプログラミング教育の在り方について(議論の取りまとめ)
      ※3 柴田雅博. (2021). 幼児期プログラミング教育用教材の分析. 福岡県立大学人間社会学部紀要, 29(2), 103-114.

プレ・エデュ編集部

Pre edu編集部

Pre eduの企画・執筆・編集をしています。小学校受験や幼児教育に関する情報をお届けします。

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