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子どもが図鑑を使うメリットは?図鑑の使い方や選び方、年齢についても解説

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子どもたちが自分の興味ある分野について学び、成長する方法はさまざまです。そのなかで、図鑑は素晴らしい学習手段として広く愛用されてきました。子どもが図鑑を使うことには、知識の獲得や好奇心の刺激、言葉の豊かさの促進など、さまざまなメリットがあります。この記事では、子どもが図鑑を使うメリットや図鑑の使い方、選び方について紹介します。

図鑑のメリット

図鑑には、子どもの成長にとってさまざまなメリットがあります。

子どもの脳にいい

東北大学の瀧靖之教授は、著書『16万人の脳画像を見てきた脳医学者が教える 「賢い子」に育てる究極のコツ』のなかで次のように述べています。

本を読むときは、脳の中でも、「言語野」と呼ばれる「側頭葉」や「前頭葉」などの部分が活性化します。それに加え、図鑑は必ず画像(写真やイラスト)をともないますから、図形認識や空間認知を担う領域など、言語野以外の複数の脳の領域も同時に活性化できます。脳の刺激という面だけで考えても、「図鑑は子供の脳にいい」ということがわかるでしょう。※1

脳の言語にまつわる部分だけでなく、図形認識や空間認識にまつわる部分も含めて総合的に活性化できるのは、図鑑ならではのメリットといえます。

視覚的学習

前述のように、図鑑には豊富な写真・イラストが掲載されています。そのため、子どもたちは図鑑を見ながら視覚的に学ぶことができます。
ビジュアル刺激が図鑑の最大の特徴です。※2

例えば、動物図鑑ではどんな動物がどのような特徴を持っているか、写真・イラストを見ながら理解することができます。また、写真・イラストを見て子どもが感じたことや疑問に思ったことを話し合うという体験を通じて、自分で考える力を育むのにも役立ちます。

好奇心を刺激する

図鑑には、子どもたちにとって興味深い情報が掲載されています。子どもはその情報を読むことで、新しい知識やさらに興味深い話題を知り、より一層好奇心が刺激されます。例えば、天体のことについて知りたくて宇宙図鑑を読んだ子どもは、宇宙についての不思議な情報に触れてますます興味がわいてくることがあります。

また、新しい知識や話題を学んだことを周りの人と共有することで、コミュニケーション能力の向上にも役立ちます。子どもの好奇心がおもむくままに、図鑑を読みながら親子で会話し、知識を共有するのがよいでしょう。

家庭学習を促進する

図鑑は、家庭学習に最適な教材です。家庭にある図鑑を見ながら、親子で学ぶことができます。散歩中に見かけた草や花を植物図鑑で調べたり、つかまえた昆虫を昆虫図鑑で調べたりしてみましょう。気になることがあれば図鑑を開くという習慣が身につけば、子どもが自分で学ぶ習慣にもつながります。さらに、家族が一緒に学ぶ時間は家族の絆を深めます。図鑑を見ながら家族で活字に親しむことで、子どもの読解力向上も期待できます。

語彙の増加

図鑑には、専門用語や難しい言葉が掲載されています。そのため、図鑑を通して子どもたちは新しい単語を学ぶことができ、語彙力が豊かになることが期待できます。図鑑で学んだ新しい単語を使って文章を作ったり、図鑑をめくりながら語彙クイズやしりとりを行ったりするのもおすすめです。語彙を増やすだけでなく、学んだ言葉を使う力を養いましょう。

想像力や創造力、自己表現力を育む

図鑑を見ながら、子どもは自分なりの考えを形成します。例えば、動物図鑑で動物の習性について学んだ後、「もし自分があの動物だったらどうだろう?」と想像することができます。また、図鑑を見ながら自分でイラストを描いたり、自分なりの説明文を書いたりすることで、自己表現力の向上にも役立ちます。

学びの幅を広げる

図鑑には、単一のテーマに特化したものや、多岐にわたるテーマを幅広く取り扱ったものがあります。多種多様な図鑑を見ることで、子どもはさまざまな分野に興味を持つようになります。幅広い分野の図鑑に触れておくことは、将来的に子どもが自分の興味関心に合わせて学びたい分野を選ぶときにも良い影響を与えるかもしれません。

図鑑の使い方

図鑑は子どもが一人で読むのはもちろん、親子で一緒に使うことでさらに子どもの学びを深めることができます。以下に、図鑑を効果的に使うさまざまな方法をご紹介します。

親子で学ぶ

親子で一緒に図鑑を見ることで、子どもが興味を持ったものについて深く掘り下げることができます。例えば、子どもが恐竜に興味を持った場合、図鑑で恐竜について学ぶだけでなく、実際に親子で博物館などへ恐竜の化石を見に行くのもおすすめです。実際の体験を交えながら学ぶことで、興味がより深まります。

大切なのは、「親も図鑑が好きだ」ということを何らかの形で子どもに示してあげることです。図鑑を読むのをなるべく習慣化し、ことあるごとに図鑑を開いて調べる姿勢を見せてあげましょう。そうすると、子どもは親の真似をして、自分で図鑑を読むようになります。※1

アウトプットする

図鑑を1ページ読んだら、そのページに載っていることを一緒に説明したり、関連することを子どもに質問したりすると、より効果的です。例えば、動物図鑑で動物の鳴き声について調べたら、子どもに「じゃあ、これはどんな動物の鳴き声だと思う?」とクイズを出してみましょう。子どもにアウトプットさせることで、読んだ内容をさらに覚えやすくなります。また、図鑑を見ながら子どもに自由に描かせたり、親子で一緒に絵を描いたり、文章を書かせたりするのも、いいアウトプットの練習になります。

継続的な学習

毎日少しずつ図鑑を読むことで、長期的な学習につながります。例えば、毎日1ページずつ見て、1週間で1つのテーマを学ぶというように、計画的に学習するのもおすすめです。子どもが幼稚園や保育園、小学校で学んだことや興味を持ったことを図鑑で補完するのも、親子で会話を楽しみながらできるおすすめの学習方法です。その日のできごとを聞きながら、例えば「こんな虫を見つけたよ」という話題が出たら、「じゃあそれを図鑑で調べてみようか」と促してみましょう。

もちろん無理をしないことが大切なので、「短時間でもいいから、できる範囲で毎日」取り組むようにしましょう。※1

体験と紐付ける

本物を見せてあげることは、子どもの心を動かすポイントです。大切なのは、図鑑で読んだ内容と実体験とのリンクです。※2

実際に公園などで体験したことを図鑑でも確認し、体験と合わせて使用することで、多面的な学習が実現します。例えば、公園で見た花を図鑑で調べたり、公園で見かけた虫や動物を図鑑で調べたりすることで、子どもが自然に興味を持ち、学ぶことができます。

また、図鑑の知識と自分の体験が一体になると、記憶はさらに強化されます。※1

図鑑は子どもの手に取れる場所に置く

子どもが学習したいときに、すぐに自ら調べることができるように、図鑑は子どもの手の届く場所に置いておきましょう。また、子どもが自由に使えるように、図鑑を専用のスペースに置くのもおすすめです。

図鑑の選び方

図鑑を選ぶ際には、以下の点に注意しましょう。

子どもが好きなテーマの図鑑を選ぶ

幅広いテーマの図鑑をそろえるのが理想ではありますが、まずは子どもが興味を持つテーマの図鑑を選びましょう。例えば、動物、鳥、恐竜、昆虫、自然など、子どもが好きなテーマの図鑑を選ぶと、読むことが楽しくなり、学習意欲が高まります。

年齢に合った図鑑を選ぶ

子どもの年齢に合わせた図鑑を選びましょう。例えば、幼児向け、小学生向け、中学生向け、高校生以上向けなど、年齢に応じた図鑑があります。ひらがな・カタカナで書かれているものや、漢字にルビがふられているものなどがあるので、実際に手に取って読みやすさを確認してみましょう。子どもが一人でも読みやすい図鑑を選ぶことで、自分で読む習慣が身につきます。

種類やテーマに注目する

図鑑には、植物図鑑や動物図鑑など単一のテーマに特化したものや、百科図鑑のように多岐にわたるテーマを取り扱ったものがあります。生き物というテーマのなかでも、魚図鑑や鳥の図鑑などさらに細分化されたテーマの図鑑もありますし、身の回りのものや暮らしといった幅広いテーマを取り扱った図鑑など、実にさまざまです。
あらゆるテーマのナンバーワンだけを集めた図鑑やさまざまなものを比較する図鑑のように、切り口に特徴のあるものや、Q&A形式で読み進められるものなど、種類も多岐にわたります。子どもにとって読みやすく、興味を持てるテーマや種類の図鑑を選びましょう。

サイズに注目する

図鑑のサイズには、コンパクトなものと大きいものがあります。コンパクトな図鑑は公園や動物園・水族館などに持っていけるので、お出かけに便利です。一方、大きいサイズの図鑑は家で見やすいのが特徴です。写真やイラストが大きく文章量も多いので、より詳細な情報を読むことができます。

紙の図鑑と電子書籍について

図鑑には、紙のものと電子書籍のものがあります。紙の図鑑は手触りや紙の質感を楽しめますし、ページ間の行き来がしやすく横断的に読むのに向いています。一方、紙の図鑑には重たくて持ち運びにくいという欠点もあります。電子書籍は、スマホやタブレットで読めるため、ボリュームのある図鑑も持ち運びに便利です。また、検索機能や画像の拡大縮小機能など、紙の図鑑にはない便利な機能も電子書籍の特徴です。図鑑の選択肢が増えた現代では、使用シーンや子どもの特性に合った図鑑を選ぶことが大切です。

図鑑のタイプ紹介

小学館の図鑑NEO、学研の図鑑LIVE、講談社の動く図鑑MOVEなどは、身近な動物や植物、乗り物、恐竜などの身近なテーマについて網羅的に解説している、いわゆる博物型の図鑑です。写真やイラストと読みやすい解説でわかりやすく解説されています。

また、比較タイプやQ&Aタイプなど、工夫された切り口で読み応えのある図鑑についてもご紹介します。

小学館の図鑑NEO

「3歳から高学年まで、長く使える本格図鑑」というキャッチフレーズのとおり、知識を網羅的に解説した読みやすい図鑑シリーズです。写真と図解が豊富で、漢字や英語にはルビがふられています。花、昆虫、動物、乗りものといった定番のテーマはもちろん、危険生物、人間、恐竜など幅広いテーマを取り扱っています。

小学館の図鑑NEOの詳細はこちら

関連シリーズである小学館の図鑑NEO+(ぷらす)の、『もっとくらべる図鑑』もおすすめです。
『もっとくらべる図鑑』は地球上の生物、山や湖などの自然、乗り物や建造物などの人工物、そして惑星まで、さまざまなものを「くらべる」という切り口で紹介している図鑑です。※2

もっとくらべる図鑑の詳細はこちら

学研の図鑑LIVE

こちらもキャッチフレーズに「3歳からずっと使える、新しい本格図鑑」とあるように、独自開発された軽い紙を使用し、ページの角を丸く加工するなど、小さい子どもの安全性にも配慮されています。付属のオリジナルDVDと同じ内容の動画を、オンライン視聴もできます。「動物」「植物」「乗りもの」などのほか、「カブトムシ・クワガタ」や「イヌ・ネコ・ペット」など身近な生き物に特化したテーマや、「恐竜」「古生物」「ジャングルの生き物」「外来生物」などの独特な切り口の図鑑もあります。

学研の図鑑LIVEの詳細はこちら

講談社の動く図鑑MOVE

迫力満点の写真やイラストだけでなくDVDの動画と組み合わせて使用することで、子どもの知的好奇心をより刺激できる図鑑です。2歳から小学校低学年まで使える「MOVEはじめてのずかんシリーズ」と、3歳以降長く使える「MOVEシリーズ」があります。「オリンピック・パラリンピック大図鑑」や「小学生のずかん」など、ユニークなテーマの図鑑もあります。

講談社の動く図鑑の詳細はこちら

知的好奇心を満たす「読む図鑑」 たのしい!かがくのふしぎなぜ?どうして? 1年生

こちらは、読み物としても楽しめる「読む図鑑」です。

Q&Aタイプの図鑑は、幼い子どもが感じる疑問を取り上げ、それに答えるつくりになっています。※2
読みやすい文章とわかりやすい絵で、子どもの「なんで?」という好奇心に答えています。

知的好奇心を満たす「読む図鑑」 たのしい!かがくのふしぎなぜ?どうして? 1年生の詳細はこちら

図鑑は何歳から?

東北大学の瀧靖之教授は、図鑑を与える時期について、男の子であっても女の子であっても、遅くとも3~4歳には用意してあげるのがよいとしています。子どもが面白い・面白くないと自分で判断する前から図鑑に親しんでおくことで、「好き」になる可能性が高くなるといいます。※1
また、子どもが図鑑に親しむための方法として、教育家である小川大介氏は、「親子で一緒に見る」ことを推奨しています。図鑑には楽しいことが載っているんだと子どもが思う状態が望ましく、そのためにも図鑑に触れる時期が早ければ早いほど、子どもが受け入れやすくなるのです。また、幼いころから長い時間をかけて図鑑に親しむことで、無理なく確実に知識が定着するといいます。※2

小川氏は、図鑑を活用するには3つのステップがあるとしています。
最初のステップは「慣れる」です。動物の写真を使った絵本や、野菜・果物を主人公にした絵本など、自然科学の世界を楽しめる絵本に親しむことから始めましょう。

次のステップは「楽しむ」です。幅広い知識を網羅したいわゆる「ザ・図鑑」タイプや、読み物としても楽しめる「Q&A」タイプ、「ビジュアル百科事典」タイプなどを取り入れます。

最後のステップは「深める」です。子どもの好奇心に寄り添いながら、ある程度マニアックなテーマの図鑑も取り入れていきましょう。子ども自身も図鑑の面白さを理解し、好きなジャンルもはっきりしてくるので、自ら図鑑を開いてどんどん読み始めるようになります。ゆくゆくは、もう一歩踏み込んだ大人向けの図鑑を取り入れるのもおすすめです。※2

図鑑を使って楽しく学ぼう

図鑑を効果的に使う方法や図鑑を選ぶポイントなどをご紹介しました。大切なのは、図鑑を買って満足するのではなく、親子で一緒に楽しみながら日常生活に取り入れ、知識を深めていくことです。子どもと一緒に図鑑を使い、楽しく学習しましょう。

参考資料

※1 瀧 靖之(著). (2016). 16万人の脳画像を見てきた脳医学者が教える 「賢い子」に育てる究極のコツ. 文響社.
※2 小川 大介(著). (2016). 頭がいい子の家のリビングには必ず「辞書」「地図」「図鑑」がある. すばる舎.

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Pre eduの企画・執筆・編集をしています。小学校受験や幼児教育に関する情報をお届けします。

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