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エラーレスラーニング
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エラーレスラーニング(誤りなし学習)とは?トライアンドエラー(試行錯誤)との違いや家庭での実践方法について解説

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エラーレスラーニングは、子どもの自信と好奇心を育むための効果的な子育てアプローチです。この方法は、学習過程における失敗の恐れを取り除き、子どもが楽しく、効果的に学ぶための環境を提供します。この記事では、基本原則からトライアンドエラーとの違い、家庭での実践方法などについて解説します。

エラーレスラーニングの基本原則

エラーレスラーニング(無誤学習・誤りなし学習)とは、誤りや失敗などのエラーを起こさせない学習方法をいいます。※1

エラーレスラーニングでは、当然できることだけをしながら少しずつ難易度を上げていきます。どこかの段階で失敗したらまたできる範囲に戻って、しばらくはそれだけを行い、それを繰り返すことで少しずつ上達していくという方法です。※2

子どもが間違いを犯す恐れを最小限に抑えながら学習することを目指して、正しい答えや方法を導き出す過程に焦点を置き、子どもの学習過程におけるストレスや不安を軽減します。この方法によって、子どもは挑戦することの喜びを感じながら、新しいスキルや知識について自信を持って学ぶことができます。
エラーレスラーニングは、以下のルールを原則としています。

ーーーーー
・なくしたい行動は事前の工夫でふせぐ
・出来ている一歩手前のステップから支援を始める
・指導する環境を注意深く整える※1

ーーーーー

エラーレスラーニングのメリット

エラーレスラーニングによって、成功体験を積み重ねることで、子どもの自信が育ち、学習へのモチベーションが高まります。好奇心が刺激されると、子どもは新しいことを学ぶことに対して積極的になり、学習が楽しいものとなります。このようにして、子どもは自己発達のための重要な基盤を築くことができます。

トライアンドエラー(試行錯誤)との違い

エラーレスラーニングは、発達障害のある子どもや記憶障害の患者などへのリハビリテーション分野など、幅広い分野で活用されている学習方法です。※3

例えば、記憶障害の人は学習の初期に一度間違えると同じ間違いを繰り返しやすくなります。補助具の活用方法を練習する際には、試行錯誤するのではなく、最初から間違えないように工夫します。手がかりを多めに整え、正しいやり方で使用できるように配慮することが大切です。※4

一方、子どもの学習においてはエラーレスラーニングだけでなく、トライアンドエラーという学習方法もあります。

トライアンドエラーは試行錯誤を繰り返すことで学習する方法です。試行錯誤を繰り返しながら、最初から高いゴールを目指して進んでいくため、苦しんだ分だけ達成感も大きく、できるようになったときの感動も大きいといえます。子どもにとっては、成長した実感が得られやすい方法といえるでしょう。※2

試行錯誤して高い目標をクリアしていく方法では、脳内世界と現実世界のギャップを経験のなかで自ら学び取り、そのギャップを自ら修正してくことが求められます。※2

間違ったとしても別の手段が選択できる行動レパートリーの広さ、そして「学ぶこと」への意欲の高さ、成功体験に裏打ちされた自信や自己肯定感などが重要になります。※1

ただし、試行錯誤をすることが難しい子どもにトライアンドエラーの学習法を強いると、つらい体験やうまくできない挫折感だけが残ってしまい、興味の幅が狭くなってしまうことが多々あります。※2

これに対して、エラーレスラーニングはいきなり難しいことには挑戦せず、当然できるレベルのことから確実にマスターしていき、少しずつ課題のレベルを上げられるように導きます。トライアンドエラーは失敗から学ぶことを奨励しますが、エラーレスラーニングは成功体験の積み重ねによって自信を育てることを目的としています。どちらがより優れているというものではありませんが、エラーレスラーニングでは子どもが学習に対するストレスを感じずに、より効率的に知識を吸収することができるのでおすすめです。

エラーレスラーニングの方法

代表的なエラーレスラーニングの方法として、手助けフェーディング型とスモールステップ型があります。

手助けフェーディング型

手助けフェーディング型では、最初は手助けを通して十分なヒントを与え、子どもに成功体験を積み重ねてもらいます。あとは少しずつヒントを減らし(フェードアウトし)て、最終的には自分でできるようサポートしていくという手法です。※1

ゴールは一人ひとり異なるため、子どもに合わせた目標を設定しましょう。また、子どもが嫌がらず、無理なくチャレンジを始められることも大切です。もし難しそうであればまた手助けしたり、手助けを減らすのを遅らせるなど、焦らず進めましょう。※1

例) 積み木でおうちを作る場合

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ゴール:一人でおうちをつくるための積み木を選び、おうちを完成させる
1.積み木のおうちを最後の一つ手前の手順まで作っておき、最後の一つだけ渡し、子どもがおうちを完成させる
2.積み木のおうちの途中まで作っておき、子どもが数個だけ置き、完成させる
3.おうちを作る積み木を出して並べておき、子どもがそれを使って完成させる※1

ーーーーーーー

スモールステップ型

スモールステップでは、目標を小さく分解し、最初に達成可能な小さな課題に取り組むことで成功体験を作ります。それから徐々に課題の難易度をあげていき、できることを増やしていく方法です。※1

・例)プール

ーーーーーーー
ゴール:楽しくプールに入る
1.プールで他児が入るのを見学する
2.プールの隣でタライやコップなど少量の水で水遊びをする
3.プールの水をコップなどで取り、水遊びをする
4.プールに手や足など体の一部だけつけて水遊びをする
5~6.水をつける部分を増やしていったり、時間を伸ばしたりしていく。※1

ーーーーーーー

なお、スモールステップの区切り方にはさまざまな方法があります。設定したゴールや取り組む課題の種類、子どもの特性にあわせて区切り方を工夫するのがおすすめです。※3

  1. 難易度:易しいものから難しいものへ
  2. 量:少ないものから多いものへ
  3. 最初から順に教える(最初少しだけやる→最後までやる)
  4. ゴールから徐々に遡る(最後の手順だけやる→始めから全部やる)
  5. 時間:短い時間から長い時間へ
  6. 場所:いつもの場所から初めての場所へ
  7. 距離:短い距離から長い距離へ
  8. 人:大人とのコミュニケーションから子ども同士のコミュニケーションへ/少人数から大人数へ/両親とのコミュニケーションから先生とのコミュニケーションへ
  9. 手助けの量:手助けが多い状態から手助けなしで取り組む※3

家庭でのエラーレスラーニングの実践

家庭でのエラーレスラーニングは、子どもの日常生活に自然に取り入れることができます。例えば、言葉の習得、数学の基本的な概念、運動、社会的スキルの発達など、子どもが日々直面するさまざまな場面でこのアプローチを用いることができます。親は子どもが正しい答えや方法に自然にたどり着けるように導きましょう。もし間違えてしまったとしても、責めるのではなくどうすればうまくいくかを一緒に考えることで、子どもの学習プロセスをサポートします。

課題を設定するときは、以下のポイントに注意するようにしましょう。

  1. 最初から高すぎる目標を立てていないか
  2. まだできないこと、未習得の行動が複数入っていないか
  3. 本人の得意なことや好きなことと関連があるか※3

日常生活におけるエラーレスラーニング

エラーレスラーニングは、日常生活のなかでさまざまな形で実践されます。子どもが関心を持つ活動や遊びを通じて学習の機会を提供すると効果的です。

例1)キャッチボール

落ちてくるボールをキャッチするのは、子どもにとっては難しいかもしれません。まずは、親がボールを手に持ったまま上から下に動かし、子どもはそれを頭を動かさずに目で追うところから始めてみましょう。次は、投げあげたボールが落ちてくるのに合わせてボールの下に移動する練習をします。このように、当然できるレベルにまで課題を分解し、小さな成功体験を積み上げていくことでゴールを目指します。※2

例2)着替え

下記の動画では、着替えをスモールステップに分解し、本人が自発的に取り組めるようにステップを徐々に増やしています。


子どもの興味や好奇心を刺激する活動を通じて、子どもは学ぶことの楽しさを感じ、新しい知識やスキルを自然に身につけることができます。

親子のコミュニケーションの重要性

エラーレスラーニングの成功は、親子間の良好なコミュニケーションに大きく依存します。親が子どもの学習過程に積極的に関わること、感情を共有し、経験を通じて学ぶことが大切です。また、子どもが学習に対して疑問や好奇心を示したとき、親がそれに対して応答し、一緒に探求することも重要です。このような相互作用は、子どもの問題解決能力や批判的思考能力の発達を促し、学習過程をより充実させる効果があります。さらに、親子間のコミュニケーションを通して子どもが自分の考えや感情を表現することで、自己表現能力が育ち、親子関係も強化されます。親が子どもの学習過程を尊重し、サポートすることで、子どもは自分の能力を信じ、新しいことに挑戦する勇気を持つようになります。

エラーレスラーニングを通して子どもの自信を高めよう

エラーレスラーニングは、子育てにおいて効果的な教育手法です。このアプローチを取り入れることで、子どもは失敗に対する恐れを克服し、自信を持って新しい知識やスキルを学ぶことができます。日常生活のなかで実践されるエラーレスラーニングは、子どもの学習へのポジティブな態度を育て、長期的な学習へのモチベーションを高めることに寄与します。また、親子のコミュニケーションを強化し、子どもの全面的な発達を支援します。この教育手法を通じて、子どもは自信を持って成長し、好奇心を持続させることができるでしょう。

参考資料

※1 江戸川区 大人も子どもも! 「できる」をつくる関わり方
※2 菅原洋平(著), 菅原未涼(著). (2018). 脳に任せるかしこい子育て. すばる舎.
※3 江戸川区発達相談・支援センター 『 えどがわABA基礎講座 ①』 支援プランや教材作成に! スモールステップ構築
※4 東京都福祉局 記憶障害の理解と支援のために
※5 YouTube Children’s Occupational Therapy – Backwards Chaining

プレ・エデュ編集部

Pre edu編集部

Pre eduの企画・執筆・編集をしています。小学校受験や幼児教育に関する情報をお届けします。

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