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小学校受験におすすめの模試とは?模試の種類や利用のメリット、選び方を解説

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小学校受験をするお子さまにとって、模試は現在の学力の把握や志望校選びに役立ちます。主催する会社によって対象校や出題内容、受験料が異なります。合格判定を参考にしたり、入学試験のシミュレーションをしたりと、模試を有効活用しましょう。この記事では、小学校受験に向けて模試を受けるメリットや選び方、おすすめの模試をご紹介します。

模試を受けるメリット

模試のメリット

模試を受けるメリットには、次の4つのメリットがあります。

現在の学力の把握

小学校受験用の模試は、小学校入試で出題される分野から作問されています。模試での成績は、その時点でどれだけ各分野に関する知識や理解を持っているかを示すものであり、現在の学力を図る一つの指標となります。また、お子さまが受験者全体の中でどの位置にいるのか、現時点での順位を知ることは、学習を進めるうえで大切なことです。模試での成績を分析することで、お子さまの弱点や苦手分野、改善すべき点が明らかになります。得意・不得意を相対的に評価し、学習の方向性を決めていきます。

志望校の合格判定

志望校別の模試では、受験する学校や試験に合わせて出題範囲や難易度が設定されている場合が多く、その学校の問題形式や出題傾向を把握することができます。また、同じ志望校のお子さまが多数参加するため、志望校の合格判定に役立ちます。

試験に慣れる

模試は実際の入学試験と同じような環境で行われるため、受験のストレスや緊張感を体験することができます。特に、小学校受験に臨む子どもたちはこのような体験をすることがほとんどないため、実際の試験に向けてよいシミュレーションになります。

親も本番を意識したシミュレーションができる

小学校受験は、高校受験や大学受験などと異なり、親が試験に付き添う必要があるだけでなく、親の面接が行われる学校もあります。

事前に模試を受けることで、試験当日にお子さまにどのような声がけをするか、本番を意識したシミュレーションができます。また、「◯◯小学校の模試だから、運動・行動観察がある、訂正方法を確認しておく」といったように、親自身も事前に情報を整理して臨めます。

さらに、親は待ち時間をどのように過ごすかもシミュレーションしておくことができます。読書ができるように本を1~2冊用意しておくのがおすすめです。
本番の試験では、お子さまと一緒に順番を待つ時間もあります。絵本、あやとり、ぬりえ、折り紙などを用意し、静かに順番を待てるよう練習しておきましょう。

このように、模試にはさまざまなメリットがあります。「子どもがテスト嫌いになるのではないか」「良い点が取れなかった場合に自信を失うのではないか」と心配して、模試を避けてしまうのはもったいないです。また、「模試では点数が低かった他の子が合格していたから、あまり宛にならない」と考えるのも誤りです。模試は高い点数を取ることが目的ではありません。お子さまが現時点でできること・できないことを把握し、適切に対策するために活用しましょう。また、お子さま自身やご両親が試験という普段とは異なる環境に慣れ、経験を積む貴重な機会でもあります。

模試を受けるデメリットはある?

模試のデメリット

模試を受けることには前述のようなメリットがありますが、模試を受ける際には、注意点もあります。

模試が過度なプレッシャーになってしまうことも

模試の結果は、子どもたちに過度なプレッシャーを与える原因となることがあります。良い成績を収めた場合でも油断を避け、また、期待に満たない結果であっても、過度に心配することなく次へのステップとして捉えることが大切です。模試の結果は、あくまでその時点での学力を示すものであり、最終的な受験結果を保証するものではありません。

模試の受けすぎには注意

模試を受ける頻度にも注意が必要です。模試を何度も受けすぎることは、子どもたちにとってストレスの原因になるだけでなく、本来の学習時間を奪うことにもつながります。適切な頻度で模試を受けるようにしましょう。

模試を受けた後は、単に結果を確認するだけではなく、どの問題を間違えたのか、その原因は何だったのかをじっくりと分析することが肝要です。間違えた問題に対する正しい解答や解法を理解し、同様の問題に取り組むことで、学習の効果を高めることができます。さらに、得意分野をさらに伸ばす方法も同時に考えることで、全体的な学力の向上につながります。

模試を通して身につけられる力

模試を受けることで、お子さまには次のような力が身につきます。

時間の感覚を養う

小学校受験では、時計で時間を指定して試験が行われるのではなく、試験管の「はじめ」「やめ」で時間が区切られます。他の受験者が鉛筆を置く音や試験官の声かけなど、周囲の雰囲気を読み取りながら解き進める必要があります。模試は、「はじめ」から「やめ」までの時間の感覚を養うチャンスです。

普段とは異なる環境でも実力を発揮できる集中力

入試会場は普段通っている幼児教室ではなく、試験官や周りの子どもも初めて会う人ばかりです。いつもとは異なる環境でいつも通りに行動するのは難しく、緊張のあまり実力を発揮できない子もいます。「テスト」という経験自体が少ない子どもにとって、模試は「試験の雰囲気」に慣れる貴重な機会です。結果の良し悪しだけを見るのではなく、入試本番で実力を発揮するための練習の場として模試を活用しましょう。

学校によっては、館内放送で問題の読み上げが行われたり、プロジェクターや電子黒板を使って出題されたりします。そういった「目新しいもの」に初めて出会うと、子どもは簡単に気を取られ、集中力をなくしてしまいます。試験本番に初めて目にするものがないよう、模試で経験を積んでおきましょう。

緊張感にのまれない胆力

模試は、入試当日の集合時間や持ち物、服装なども含めてシミュレーションできる絶好の機会です。家を出る前から試験会場を出るところまで、入試本番を意識した行動や声かけをするのがおすすめです。

普段とは違う服装や雰囲気のせいで緊張してしまい、本番でいつもの自分が出せなくなってしまうことは少なくありません。また、会場までの道中あるいは試験会場でお友達に会ったときに、テンションが上がってふざけてしまったり、さわいでしまったりすることも考えられます。ほどよい緊張感を持ちながら、心を落ち着け、雰囲気にのまれないような胆力を育むためにも、模試でシミュレーションすることは大切です。

模試の選び方

実力判定の正確さと母集団の人数

模試の目的は、受験生の実力を測ることです。模試を受ける人数が多い模試、つまり母集団が大きい模試は、参加者の多様性が確保されているため、平均的な実力を知ることができます。一方、母集団が小さい模試の場合は、特定の地域や学校の特色に偏った結果となる可能性があります。できるだけ規模の大きな、受験人数の多い模試を選びましょう。また、実際の試験内容や過去の出題傾向に沿った出題内容の模試を受けることで、より正確な判定が期待できます。

模試を提供する企業の実績

長い実績のある企業は、受験トレンドの変動を的確に捉えていると考えられます。多くの受験生のデータやフィードバックをもとに、模試の内容や難易度を最適化しています。模試を提供している企業の過去の実績や、その年の受験トレンドと模試の一致度を確認することが大切です。

解説の充実度とフィードバックの受け取り方

採点や結果表だけでなく、模試の解説も重要です。解説をチェックすることで、単に「何が間違っていたか」だけでなく、「なぜ間違えたのか」と「どうすれば正しく答えられるのか」も理解することができます。模試を選ぶ際には、模試の解説が充実していること、具体的には、各問題に対する考え方や間違えやすいポイントなどが網羅的に説明されているかを確認しましょう。一部の幼児教室では個別学力診断テストを提供しており、個別のフィードバックやアドバイスがもらえる場合があります。それをもとに子どもの学習計画を修正し、効率的に対策を立てるため、それぞれの子どもの理解度に合わせた受験対策が可能になります。

保護者の口コミ

模試を実際に受けた子どもの保護者からの口コミは、その模試のリアルな評価を知るための貴重な情報となります。特に、模試を受けた後、受験した子どもの学習状況やモチベーションがどう変化したかといった情報は、模試の効果を判断するうえで非常に参考になります。

上記のポイントを参考にしながら、お子さまにとって最適な模試を選択しましょう。

小学校受験の模試一覧

小学校受験の模試にはさまざまなものがありますが、全国規模で開催されている模試や大手幼児教室が主催している模試を6つご紹介します。(情報はいずれも2024年4月現在)

小学受験統一模試 みつめる21

URL:https://mitsumeru21.com/
「小学受験統一模試」は、教育図書21が300教室以上の幼児教室と共同開催する全国最大の小学校受験模試です。同時開催イベントとして、60校以上の有名私立小学校の先生方を招いた合同相談会や、小学受験統一模試会場限定の問題集コーナー、出題内容の問題解説および父母受験講座などが開かれています。1都3県で実施されており、大学会場のほかに私立小学校も試験会場となります。

項目 詳細
受験者数 年間延べ10,000人以上が参加(各回2,000名程度)
年間スケジュール 年中児は7・9月の全2回、年長児は3・4・5・7・8月の全5回
特別な模試 2月に「プレ統一模試」、6月に「志望校別オープン模試」、9月に「完全志望校別選抜模試」(統一模試成績上位者のみ参加)
出題内容 小学校入試で出題される全分野から、開催月のお子さまの学力に合わせて毎年作問。私立小学校の先生からも定評があります。
受験料 10,000円(税込)

小学受験全統オープン

URL:https://www.zento-open.info/
小学受験全統オープンの「総合テスト」は、理究エデュオが運営する全国規模の模試です。各私立国立小学校の入試傾向を分析し、独自の合格判定システムを作り上げているため、志望校別合格判定が可能です。

項目 詳細
受験者数 首都圏・関西圏で開催され、全国最大級の参加者数
年間スケジュール 年中児・年長児ともに3・5・7・9・10月の全5回
出題内容 ここ数年の私立国立小学校の入試問題から、出題頻度の高かったものを厳選し、最新の出題傾向(予想問題)を反映
受験料 年中児は5,500円(税込)、年長児は11,000円(税込)

 

伸芽会 オープン模試

URL:https://www.shingakai.co.jp/lecture/
「伸芽会オープン模試」は、大手幼児教室の伸芽会が開催している全国最大級の模試で、累積100万人以上が受験しています。
受験者数:年間延べ2万人が参加
年間スケジュール:現在受付中の公開模擬を伸芽会公式サイトにて随時更新
出題内容:過去の入試分析情報をもとに、最新の入試動向を予測して作成されています。
受験料:
総合力診断ABテスト 会員13,200円(税込)/一般16,500円(税込)
学校別チャレンジテスト 会員13,200円(税込)/一般16,500円(税込)
フォローアップクラスを合わせて受講する場合は別途料金(会員8,800円(税込)/一般11,000円(税込))

 

ジャック幼児教育研究所

URL:https://www.jac-youjikyouiku.com/event/index.php#mainnavi
大手幼児教室のジャック幼児教育研究所では、目的別・学校別に各種模擬テストを実施しています。
「進学模擬テスト」は3~9月にかけて合計5回実施され、入試の時期までに身につけたい問題を段階的に網羅できるようになっています。「学校別模擬テスト」は、豊富かつ細密な情報をもとに30校以上の学校別に実施されています。私立小学校だけでなく、国立小学校向けの学校別模擬テストも実施されています。

ペーパー実力テスト

年長の1~6月にかけて合計4回実施されます。積み木の数、仲間探し、数の多少、同頭語、図形構成、話の記憶、異図形発見、計数など、毎回同じ出題範囲で行われ、分野の得意・不得意やそれぞれの習熟度の確認ができます。

進学模擬テスト

3~9月にかけて合計5回実施されます。ペーパー(40点)、製作や絵画、パズルなどを出題する応用自在(30点)、体操(15点)、面接(15点)の100点満点で評価します。第4回、第5回は親子面接もあり、入試の時期までに身につけたい内容を段階的に網羅できるようになっています。

学校別模擬テスト

豊富かつ細密な情報をもとに、私立・国立小学校30校以上の学校別の模擬テストが春・夏・秋に実施されています。春の模擬テストは、出題傾向やお子さまの得意・不得意を把握し、今後の家庭学習の方向性を決めるのに役立ちます。入試直前に行われる秋の模擬テストは、課題の発見や総まとめ・総復習に活用できます。模擬テストでの順位や試験内容との相性は、志望校を最終決定する際の参考にもなります。

ほかにも、年2回行われる慶応横浜初等部習熟度ペーパーテストや、毎年ゴールデンウイーク頃に実施される行動観察テストなどもあります。

なお、ジャック幼児教育研究所は会員制度があり、模擬テストや講習会における申込開始日・費用面での優待制度が設けられています。正会員は、通常授業のほかに学校研究会などの参加資格があります。準会員は、通常授業を受講しない方でも一般の方よりも早く講習会や模擬テストに申込みでき、正会員と同額の費用で受講できます。

 

こぐま会

URL:https://www.kogumakai.co.jp/test/index.html
こぐま会では、基礎学力を点検するテスト、実力点検のための総合テスト、入試傾向をふまえた学校別テストなど、さまざまなテストを実施しています。基礎学力を点検するテストでは、年少児・年中児・年長児において、1対1の対面形式で学力を診断する「個別学力診断テスト」もあります。また、年長児が「総合力判定テスト(年5回)」と「合格判定テスト(年2回)」をセットでお申し込みすると年間受験料がお得になる「テスト会員」となり、年2回の学習相談や準備授業・補習授業(別途費用)も受講できるようになります。
こぐま会の「学校別模擬テスト」の主な対象校を以下に挙げます。
女子校:光塩女子学院初等科・聖心女子学院初等科・白百合学園小学校・田園調布雙葉小学校・東京女学館小学校・東洋英和女学院小学部・日本女子大学附属豊明小学校・雙葉
小学校・横浜雙葉小学校・立教女学院小学校
男子校:暁星小学校
共学校:学習院初等科・慶應義塾幼稚舎・慶應義塾横浜初等部・成蹊小学校・東京農業大学稲花小学校・目黒星美学園小学校・早稲田実業学校初等部
受験料:
テスト会員の年間受験料(5回分) 55,000円(税込)
1回ごとのお申し込みの場合(5回分) 71,500円(税込)※1回あたり14,300円(税込)

スイング幼児教室 志望校別オープン模試

URL:https://www.swing-youjikyousitu.com/2023exam.html
都内3か所に教室があるスイング幼児教室では、12月~翌年9月にかけて、「志望校別オープン模試」を実施しています。学校別に2~4回かけて行われ、会員だけでなく外部生も受けることができます。高倍率校を志望するお子さまを対象とした「ペーパー総合模試」は、合否の分かれ道となる「得点差のつく問題」を意識した本番に近い模試です。そのほかにも、以下の小学校を対象とする模試が展開されています。
対象校:慶應義塾幼稚舎模試、慶應義塾横浜初等部模試、早稲田実業学校初等部模試、女子校3校(雙葉・白百合・聖心)模試、筑波大学附属小学校模試、洗足学園小学校模試、暁星小学校模試、学習院初等科模試、東京農業大学稲花小学校模試

理英会 月例模擬テスト

理英会東京 月齢模擬テスト
理英会関西 月齢模擬テスト
大手幼児教室の理英会では、月例模擬テストを実施しています。関東エリアでは理英会東京、関西エリアでは理英会関西がそれぞれ実施しており、全統オープンと合わせるとほぼ毎月模試が行われていることになります。テスト結果に応じて第4志望校まで判定できるのも特徴です。
出題内容:言語・記憶・数量・推理・構成・知覚・常識・絵画制作・生活技能・運動技能・運動総合・行動・態度の13領域から、その時期の難易度に合わせた内容が出題されます。
受験料:
理英会東京 1回10,560円(税込)
理英会関西 1回6,600円(税込)

奨学社

URL:https://www.syougakusya.co.jp/kindergarden/
京阪神地区において幼児教室を運営する奨学社では、さまざまな模試を実施しています。年中向けの「ジュニア模擬テスト」では関西地区の有名小学校の最新入試問題を分析し、年中用にアレンジした問題が出題されます。年長向けの「入試直結年長模擬テスト」は、全8回で主要な分野を網羅できるようになっており、模試受験直後には入試に直結する分野をさらに深堀りする特別授業も展開されているのが特徴です。また、「学校別オープン模試」も実施されており、志望校がすでに決まっているか、ある程度絞れているご家庭にもおすすめです。

プレ・エデュ編集部

Pre edu編集部

Pre eduの企画・執筆・編集をしています。小学校受験や幼児教育に関する情報をお届けします。

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