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小学校受験の季節対策にも!子どもと一緒に四季を感じ、学び、体験する
日本の四季は美しく、それぞれの季節が持つ独自の風景や文化は子どもの感性を刺激します。四季を感じ、楽しみ、理解することは、子どもの成長につながります。また、小学校受験における理解力を深めるための重要なステップでもあります。今回の記事では、季節を通じた学習の楽しみ方とその効果、具体的な取り組み方についてご紹介します。
なぜ小学校受験で季節が問われるの?
小学校受験では、子どもが日ごろから自然に触れているかどうかや、季節感を感じ取る能力が評価されています。例えば、夏に行われるお祭りやお正月に飾る門松など、季節感が試される問題が出題されることがあります。これは、自然と文化を理解する力が子どもの感性や観察力を育み、同時に日本の伝統的な行事や食文化を深く理解する基盤となるからです。
文部科学省の教育課程部会幼児教育部会は、「幼児期の終わりまでに育ってほしい幼児の具体的な姿」として、健康な心と体や自立心、協同性などさまざまな項目を挙げています。そのうち、「自然とのかかわり」として次のように述べています。※1
・自然に出会い、感動する体験を通じて、自然の大きさや不思議さを感じ、畏敬の念をもつ。
・水や氷、日向や日陰など、同じものでも季節により変化するものがあることを感じ取ったり、変化に応じて生活や遊びを変えたりする。
・季節の草花や木の実などの自然の素材や、風、氷などの自然現象を遊びに取り入れたり、自然の不思議さをいろいろな方法で確かめたりする。
また、文部科学省は『小学校学習指導要領(平成29 年告示)解説 生活編』においても次のように示しており、幼児期から自然体験を積み重ねることの重要性を強調しています。※2
自然体験の少なさが課題として挙げられる中、幼児期から児童期に至る成長の過程において、自然に触れ合う体験や季節に応じて自分たちの生活を工夫する体験が求められている。
季節感を育むメリット
季節感を育むことは、子どもたちの感性や観察力、問題解決能力を育むことにつながります。春は桜を見て詩を書いたり、夏は暑さを体験して太陽の力を学んだり、秋は落ち葉を使って工作したり、冬は雪の結晶を観察して物理の法則を実感するなど、四季を通じた学習は子どもの創造力を刺激します。
また、季節ごとの行事や旬の食材を楽しむことで、家族との絆が深まり、コミュニケーションを促進する機会も増えます。それぞれの季節が持つ美しい風景、伝統的な行事、旬の食材などを通じて、子どもたちは自然と文化を深く理解し、またそれらを尊重する心を育むでしょう。その経験と理解は小学校受験だけでなく、その後の学校生活や社会生活においても大きな力となります。
季節の覚え方・基礎編
季節感を育むための第一歩として、まずは季節ごとの特徴を覚えましょう。そのためには、普段の食事に旬の食材を取り入れることや季節の行事を体験することが非常に適しています。例えば、春は新鮮な筍やイチゴが店頭に並び、お花見やこどもの日の鯉のぼりなど、季節を感じる行事があります。夏はスイカやとうもろこしが旬を迎え、海水浴や花火大会、地域の夏祭りなどを楽しむことができます。秋は旬のさつまいもに親しむお芋ほりのほか、運動会、お月見などのさまざまな行事があります。冬はみかんや大根が旬を迎え、お正月を祝ったり、地域によっては雪遊びを楽しんだりします。こういった季節の特徴を覚えるためには、実際にその季節を体験し、季節感を育てる活動を取り入れることが大切です。
季節の覚え方・発展編
基本的な季節感を学んだ後、さらに深く季節と向き合う方法として、フェノロジーを取り入れた学習があります。フェノロジー(Phenology)は生物季節学と訳されるように、季節が移り変わるのにしたがって動物や植物の行動が変化したり、その状態が変化したりする様子を研究する学問のことです。※3
例えば、近くの公園や庭で、桜がいつ咲き始め、いつ散ってしまうのかを記録するのもよいでしょう。季節によって見られる鳥や虫の種類を調べる活動もおすすめです。これらの活動は子どもたちの観察力を養い、自然科学への興味を引き立てます。また、地元の自然環境をより深く理解することで、地域への愛着も育まれます。
家族みんなで季節を楽しもう
季節感を育むことは、自然と文化を理解するだけでなく、感性や観察力、問題解決能力を育む重要な機会です。それは子どもたちが日本の四季を通じて学ぶ、豊かな体験と感動の連続でもあります。季節を楽しむ活動を通じて、子どもたちは自然と共に生き、感じ、学ぶことの大切さを実感できるでしょう。それらの経験は小学校受験に役立つのはもちろん、一生涯にわたる学びの基盤として子どもたちを支えることにつながります。
また、季節感を育む学習は、家族全員が楽しみながら参加できるものです。各季節の特徴を学び、季節に合わせた活動を体験し、自然と人間の関係を深く理解する。これらの経験は、子どもたちだけでなく大人たちにとっても貴重な学びの機会です。家族みんなで季節を楽しむなかで、子どもたちは自然と文化を深く理解し、それらを尊重する心を育んでいくことでしょう。
参考資料
※1 文部科学省 教育課程部会 幼児教育部会(第2回) 資料3 「幼児期の終わりまでに育ってほしい幼児の具体的な姿(参考例)」
※2 文部科学省 小学校学習指導要領(平成29 年告示)解説 生活編
※3 国立環境研究所 定点カメラによる森林フェノロジー観測