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なぜ幼児期の運動は大切なの?幼児期運動指針や運動遊び、モンテッソーリ教育における運動の敏感期について解説

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文部科学省では、子どもたちの健全な成長を目指す「幼児期運動指針」を公開しています。今回はこの指針をもとに、幼児期の運動の重要性を解説し、遊びのなかにさまざまな運動を取り入れた運動遊びや、室内でもできる運動遊びの具体例をご紹介します。また、モンテッソーリ教育における運動の敏感期や運動系の習い事事情、運動と生活習慣の関連についてもご説明します。

文部科学省の幼児期運動指針

幼児期の運動の意義

幼児とは、3歳から6歳の小学校就学前の子どもを指します。文部科学省は幼児期における運動の意義について、「遊びを中心とする身体運動を十分に行うことは、多様な動きを身に付けるだけでなく、心肺機能や骨形成にも寄与するなど、生涯にわたって健康を維持したり、何事にも積極的に取り組む意欲を育んだりするなど、豊かな人生を送るための基盤づくりとなる」としています。※1
幼児期に運動をすることで、以下のようなさまざまな効果が期待できます。※1、2

体力・運動能力の基礎を養う

体力は人間が生きていくうえでとても重要です。幼児期は神経機能の発達が著しく、5 歳ごろまでに大人の約 8 割まで発達するといわれています。タイミングよく動いたり、力の加減をコントロールしたりといった「運動を調整する能力」が一段と向上する時期でもあります。この時期に養われる基本的な動きは、ケガや事故などの危険を回避することにもつながります。日ごろから体を動かすことで、筋力や持久力を高められることも期待できます。

丈夫で健康な体をつくる

幼児期の適切な運動は、丈夫でバランスの取れた体を作ります。さらに運動習慣を身に付けることで身体の諸機能の発達が促され、健康で活動的な生活習慣が作られます。その結果、肥満や痩せすぎになることを防ぎ、幼児期はもちろん成人になった後も生活習慣病にかかる危険性が低くなると考えられています。

意欲的に取り組む姿勢を育む

幼児にとって体を動かすことは主に遊びですが、思いきりのびのびと動くことで健やかな心が育ちます。また、遊びを通した成功体験によって自分に自信がつき、何事にも前向きに、意欲的に取り組むことができるようになります。

社会に適応していくための能力を育む

幼児期は友達と関わりながら遊ぶことが多くなります。ルールを守り、自己を抑制し、コミュニケーションをとることで、子どもは協調性や社会性などを育みます。

認知的能力の発達促進につながる

運動をするときは、状況判断から運動の実行まで、脳の多くの領域を使っています。文部科学省は「すばやい方向転換などの敏捷な身のこなしや状況判断・作戦などの思考判断を要する全身運動は、脳の運動制御機能や知的機能の発達促進に有効である」と示しています。自分たちの状況に合わせてルールを変えてみたり、新たな遊びを考えたりすることで、創造力が育まれます。

年齢別発達の特性と獲得したい動き

年齢が上がるにつれて子どもはさまざまな動きを獲得し、基本的な動きの運動の仕方がうまくなっていきます。文部科学省の幼児期運動指針には、年齢別の発達の特性や、その時期に獲得したい動きについても示されています。※1、2

3歳から4歳ごろ

基本的な動きが一通りできるようになり、自然に自分の身体の動きをコントロールしていく時期です。この時期には、立つ、座る、寝ころぶ、起きる、回る、転がる、渡る、ぶら下がるなど「体のバランスをとる動き」や、歩く、走る、はねる、跳ぶ、登る、下りる、はう、よける、すべるなど「体を移動する動き」を経験しておきましょう。

4歳から5歳ごろ

基本的な動きが定着し、友達と運動することに楽しさを見いだすようになる時期です。用具を使って遊んだり、自分たちでルールを決めて発展させて遊んだりする姿がみられます。持つ、運ぶ、投げる、捕る、転がす、蹴る、積む、こぐ、掘る、押す、引くなど「用具などを操作する動き」を取り入れましょう。

5歳から6歳ごろ

無駄な動きや力みなどが少なくなり、動き方が上手になっていく時期です。また、集団で行動したり、役割を分担したりして遊ぶようになります。例えば、ボールをつきながら走るなど、「体のバランスをとる動き」「体を移動する動き」「用具などを操作する動き」を組み合わせた運動や、さまざまな鬼ごっこなどルールの複雑な遊びを取り入れるとよいでしょう。

幼児期に運動を行う際の3つのポイント

幼児期は、生涯にわたって必要となるさまざまな基本的な動きを獲得する大切な時期です。
文部科学省による幼児期運動指針では、運動を行う上で3つのポイントを挙げています。※1

  1. 多様な動きが経験できるようにさまざまな遊びを取り入れること
  2. 楽しく体を動かす時間を確保すること
  3. 発達の特性に応じた遊びを提供すること

運動遊び

運動遊びとは

運動遊びとは、遊びのなかで活発に体を使った遊びのことです。運動遊びは動きの獲得や身体能力向上だけでなく、精神面の発達にも効果的です。思考力・判断力・集中力を養い、「自分はできる」という自信を持てるようになるだけでなく、集団で遊ぶことにより協調性や社会性なども育むことができます。※3、4

運動遊びの実践のポイント

いつも同じ遊びをするのではなく、さまざまな遊びを提供して、多くの動きを経験させましょう。運動遊びは「子どもがやってみたいと思うようなもの」を意識します。※1、3
文部科学省の調査によると、外遊びの時間が多い幼児ほど体力が高い傾向にあるという結果が出ています。日常生活のなかで体を動かす時間として「毎日合計60分以上」を目安に、時間と場所を確保しましょう。※1、3、5
特に幼児期は同じ年齢であっても個人差が大きいため、子どもの個人差を配慮した遊びを心がけます。そうすることで無理なく自然に動きを獲得することができ、ケガ予防にもつながります。これらのポイントを意識しながら、運動遊びを行いましょう。※1、3

運動遊びには、鉄棒、雲梯、マット遊び、ボール遊び、フープ遊びなど用具を使った遊びのほか、鬼ごっこ、だるまさんが転んだ、缶けりなど一定のルールのもとで行う遊びもあります。そのほかにも、リトミックやプール遊び、相撲、サーキット、ケンケンパ、押しくら饅頭など、基本的動作や用具操作の上達につながるさまざまなものが挙げられます。
幼児期には多くの運動遊びを通して多様な動きをたくさん経験し、「体のバランスをとる動き」「体を移動する動き」「用具などを操作する動き」を身に付けていきましょう。※3

屋内でもできる運動遊び

多くの準備を必要とせず、比較的すぐに実施できる遊びをいくつか紹介します。※4
ただし、下記のルールは一例にすぎません。年齢に合わせてルールなどを変更し、子どもが取り組みやすいように工夫してあげましょう。
家の中で遊ぶ場合、当たると危ないところをクッションなどで覆ったり、物を片付けて広い場所を確保したりして、子どもが安全に遊べるように環境を整えてから行うようにしてください。

ケンケンパ

大きな輪っか(新聞紙を丸めて作るなど)を10個ほど用意します。○が1つだけのところは「ケン」と言いながら片足で進み、○が2つあるところは「パ」と言いながら両足で進みます。間違えずに「ケン・パ」といいながらゴールできたら終了です。

押しくらまんじゅう

人数に合わせて適当な円を描き、参加者は円の中に入り背中を合わせます。「押しくらまんじゅう、押されて泣くな」と言いながら、背中で押し合います。円から出たらアウトとなります。円ではなく楕円形や四角にしても面白いでしょう。

タオル取り鬼・しっぽ取り鬼

しっぽのようにズボンの後ろに挟んだタオルを取り合う遊びです。自分のタオルを取られたら終わりではなく、ほかの子のタオルを取りに行きます。時間内に一番多くタオルを取った子が勝ちとなります。個人戦ではなく、グループ対抗戦にしてもよいでしょう。

ろくむし

20メートルほど離れた場所に2つの円を作ります。鬼を2人決め、鬼同士が柔らかいボールを投げ合っている間に、子は2つの円を走りながら行き来します。1往復すると「いちむし」、2往復すると「にむし」と数えます。1人でも6往復して「ろくむし」できたら、子が勝ちとなります。子は一度円の外に出ると、同じ円には戻れません。円の外に出ている間に鬼にボールを当てられたらアウトとなり、子を全員アウトにしたら鬼の勝ちとなります。

だるまさんが転んだ

鬼を1人決め、壁や木に立ち、子は数十メートル離れたラインに一列に並びます。鬼が「初めの第一歩」というと、子は大股で一歩だけ進めます。鬼は壁の方を向き「だるまさんが転んだ」といって子の方に振り向きます。鬼が振り向くまでの間に子は移動し、振り向くと同時に静止しなければなりません。静止できなかった子は鬼のところまで移動して手をつなぎ、ほかの子が助けてくれるのを待ちます。鬼と捕まってしまった子のつないだ手を、ほかの子が「切った」と言って触れれば、すべての子は逃げることができます。鬼はすぐに「ストップ」と声を掛け、子を静止させます。鬼はあらかじめ決められた歩数を移動することができ、子にタッチできたら鬼を交代できます。

このほかにも、スポーツ庁「子供の運動あそび応援サイト」では家庭でできるさまざまな運動遊びを紹介していますので、ご参考ください。※6

モンテッソーリ教育の運動の敏感期

モンテッソーリ教育では、言語や秩序、運動などに対してさまざまな敏感期が表れるといわれています。運動の敏感期は0歳~6歳にかけて、発達の段階にあわせて表れます。運動の敏感期に意識しておきたいポイントを2つご紹介します。

「筋肉の動かし方」を覚える

生まれてから4歳半ごろまでの子どもは、絶え間なく体を動かして運動の仕方を学びます。公園で遊んだり、体操をしたり、日常生活の中で体を動かしたりすることで、子どもたちは自然と運動の基礎を身につけています。
人間の筋肉は、大きく2種類に分けることができます。ひとつは腕や足の筋肉など、自分の意志で動かすことができる「随意筋肉」、もうひとつは内臓の筋肉のような「不随意筋肉」です。子どもたちが運動を覚える敏感期は、このうち「随意筋肉」の動かし方を覚えていくための時期なのです。

さらに随意筋肉の動かし方を分類すると、次の3つに分けられます。

①体を「大きく」動かす(粗大運動)

歩いたり、走ったり、飛び跳ねたり、ぶら下がったり、体全体を使って力いっぱい動くことは、幼児期において特に必要なことです。公園や児童館など、思い切り体を動かせる場所に連れ出してあげることが大切です。

②「腕や手」を動かす

鉄棒にぶら下がったり、綱引きをしたりすることで、腕の筋肉を鍛えることができます。また、親子で雑巾がけや窓拭きをするなど、家事を通して腕の筋肉を鍛えることもできます。

③「指先」を動かす(微細運動)

随意筋肉を鍛えるのは体を大きく動かす運動だけではありません。指先を使って細かな作業をするのは、普段手を使うことの少ない子どもにはとても難しいことです。折り紙やひも通しなどの遊びや、ハサミやのりを使うなどの活動を意識的に取り入れることで、指先の運動能力を高めることができます。※7

身体を動かすことで自己コントロール力を高める

子どもがじっとしていられないのは、身体全体を動かしたいという欲求が強いためです。子どもたちは運動することで自己コントロール力を高めることができます。まずは身体を思い切り動かすことから始めましょう。

子どもは「自分の操縦者になりたい」と思っています。身体を思い通りに動かすにも、じっとしているためにも、自己コントロールする力が必要です。つまり、たくさん身体をコントロールする運動の機会を作ることが、身体を動かしたりじっと話を聞いたりすることにつながるのです。

特に、3~6歳は身体のコントロール力を高めるために、多様な動きにチャレンジする時期です。歩く、走るといった動作に加えて、鉄棒、ボールを使ったスポーツ、なわとびなどにも挑戦しましょう。ひとつできるようになったら、また新しい動きをすることで、子どもはどんどん自己コントロールができるようになります。

このように、子どもたちは楽しく運動することで自己コントロール力を高め、ゆくゆくは静かに座って話を聞けるようになることも期待できます。子どもの動き(発達)をよく観察して、ちょうどよさそうな動きや、ほんの少し難しそうな動きに挑戦させてあげましょう。※8

幼児の体力・運動能力と非認知能力の関係

運動やスポーツの分野ではまだまだ研究成果が乏しく、非認知能力への貢献が十分に示されていませんが、運動やスポーツが非認知能力の発達にも寄与する可能性があると考えられています。

中京大学の中野貴博教授らが、379名の幼児を対象に20項目の非認知能力調査を行い、体力テストとの関係を検討しました。その結果、幼児期の体力・運動能力と非認知能力の発達に関係があることが確認されました。特に、男児では体力・運動能力の向上や運動習慣の獲得は非認知能力を高めることができると推察されています。

また、愛知県S市の全公立小学校16校に通う1~6年生の児童6,720名に行った調査では、運動への積極性とGRITスコアとの関係を検討しました。GRITとは、Guts、Resilience、Initiative、Tenacityの頭文字をとったもので、「やり抜く力」ともいわれます。将来の社会的成功につながるとされている15の能力のひとつであり、非認知能力のなかでも重要視されているこのGRITは、児童の運動への態度や、体力・運動能力と関係があることが示唆されました。※9

関連記事:非認知能力とは?ペリー就学前プロジェクトや非認知能力を育てる方法、家庭での伸ばし方について解説

スモールステップで確実にステップアップ

運動について新しいことを学ぶ方法として、エラーレスラーニングがあります。エラーレスラーニングでは、当然できることをだけをしながら少しずつ難易度を上げていきます。どこかの段階で失敗したら、またできる範囲に戻ってしばらくはそれだけを行い、これを繰り返して少しずつ上達していくという方法です。

エラーレスラーニングを上手に実践するためのポイントは、できる範囲内で最も難しい課題を設定することです。

まず、子どもがどこまでできていて、どこでつまずいているのかを見極める必要があります。そのためには、できるようになりたい行動を分解し、小さな課題に分ける「スモールステップ」が有効です。※10

新しい運動を取り入れる際に役立つ、4段階のスモールステップをご紹介します。

1.姿勢のチェック

子どもの体が作業や運動を始められる姿勢になっているか、子ども自身が現在どのような姿勢をしているのかを確認します。正しい姿勢ができているかどうかには、前庭感覚と固有感覚が関係しています。※10

2.道具に触れたときの感覚をチェック

子どもに道具に触れてもらい、硬さや重さ、温度、質感などを言葉で表現してもらうと、脳内で道具の扱い方をイメージしやすくなります。イメージしやすくなると、脳は効果的に道具を扱う動作を命令できるようになり、作業もスムーズに進めることができます。※10

3.目の動きもチェック

子どもの頭が不用意に動いていないか、また子どもが対象をどのように見るかを確認しましょう。作業に必要な目の動きが苦手な場合は、その動きだけを先に練習するようにします。※10

4.言葉で説明

目標となる作業で発生する因果関係を言葉で説明し、子どもに理解させます。※10

姿勢→感触→目の動き→意味の説明

どんな作業でも、姿勢→感触→目の動き→意味の説明という4つのスモールステップに分解して目標を作成し、徐々にステップを上げていくことで、脳内の世界と現実の世界のギャップを埋めることができます。子どもが苦手な動作や作業を1つずつ解消していくのです。※10

関連記事:エラーレスラーニング(誤りなし学習)とは?トライアンドエラー(試行錯誤)との違いや家庭での実践方法について解説

運動系の習い事

子どもに習わせたい運動系の習い事は?

有限会社さわだスポーツクラブが保育園に子どもを預けている親を対象に行った「子どもの習い事に関する調査」を見てみましょう。「子どもにさせてみたい運動系の習い事は何か」という調査では、1位「水泳(68.3%)」、2位「体操教室・運動遊び(42.7%)」、3位「ダンス(33.2%)」となっており、以下はサッカー、武道、野球・ソフトボール、バスケットボールなどが続きました。※11

コロナ渦の影響により子どもの運動不足を感じている親も多い

その一方で、近年は新型コロナウイルス感染症の影響により、多くの園で運動会や遠足などが中止になりました。コロナ禍による子どもへの影響で気になるのは、運動不足ではないでしょうか。

同じく有限会社さわだスポーツクラブの調査結果によると、コロナ禍で子どもの運動不足を感じている人は、「とても感じている(21.6%)」「やや感じている(41.6%)」を合わせると約6割でした。また、子どもに運動させたいと思う一方で、コロナ禍で感染に不安を抱いている親が多いこともわかりました。運動不足解消のために、YouTubeのダンスをみながら踊っている、トランポリンなど室内でできる器具を購入して遊ばせているなど、ご家庭で工夫して取り組んでいるようです。※11

運動と生活習慣

子どもの運動能力は1985年ごろをピークに現在まで低い水準にあります。子どもの運動能力低下の要因として、生活習慣の乱れが指摘されています。また、子どもを取り巻く環境の変化に伴い、遊ぶ時間や空間、仲間の減少や朝食の欠食や偏食、夜型生活による睡眠不足なども運動能力に関係していることが示されています。

文部科学省の調査によると、1日の睡眠時間が8時間以上である幼児は、そうでない幼児に比べ運動能力検査の結果が高得点であることがわかりました。睡眠時間の減少は日中の眠気や疲れやすい体質になるだけでなく、成長の遅れや食欲不振、注意・集中力の低下などさまざまな悪影響を及ぼします。疲れや眠気がある場合、外遊びなど日中の活動量も減り、運動能力の低下につながるといえます。※12、13、14

幼児期は基本的な生活習慣(運動、食事、睡眠)を獲得する重要な時期です。実際、生活習慣の改善を通して体力の向上につなげている事例もあります。幼児期に運動を取り入れることは必要なことですが、それと同時に規則正しい生活を心がけましょう。※12、13

子どもの運動量の目安

最後に、近年提示された子どもの運動量の目安を見てみましょう。

WHOの「身体活動及び座位行動に関するガイドライン(2020年)」では、5~17歳の子どもの運動量として、「1日平均60分の中強度の有酸素性の身体活動」を推奨しています。加えて、少なくとも週に3日、高強度の有酸素性身体活動や筋肉・骨を強化する身体活動を取り入れるべきとしています。※15

厚生労働省も、「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」のなかで上記のガイドラインを挙げ、子ども(小・中学生)の毎日の身体活動を推奨しています。中強度の身体活動とは、少し息が上がるくらいの強度を指し、身体活動の強度を示すメッツという単位でいえば3~5.9メッツにあたります。例えば、人気の高い習い事でもある「水泳」は、運動のメッツ表によると4.8~10.0メッツの強度があります(泳法や速度による)。バレーボールは3.0メッツ、バドミントンは5.5メッツ、サッカーは7.0メッツなど、スポーツによって強度は異なります。※16

なお、身体活動には健康や体力の維持、増進を目的として行われるスポーツなどの「運動」だけでなく、日常生活やお手伝いなどの「生活活動」も含まれます。生活活動のメッツ表によると、軽い荷物運び、床磨き、風呂掃除などは3.5メッツの強度の身体活動とされています。※16

日々忙しく、お子さまの運動時間が足りていないと感じる場合は、これらのお手伝いを取り入れるのもよいでしょう。重いものを運んだり、お掃除をしたりするのは、小学校受験の「運動」の試験対策としてもおすすめです。

関連記事:小学校受験対策「運動」編 おうちでできる受験体操のポイントやお受験に特化した体操教室を紹介

身体活動は、全身の持久力や筋力、体力の向上だけでなく、心血管代謝機能や骨の健康、認知機能、メンタルヘルスの向上、そして肥満改善などにも効果があるとされています。体操教室やおうちでのトレーニング、遊びや習い事、そしておうちでのお手伝いなどを含めて、上記の身体活動の推奨レベルを満たせるような運動量を心がけましょう。

参考資料

※1 文部科学省 幼児期運動指針
※2 文部科学省 第2章 幼児期における身体活動の課題と運動の意義
※3 三条市 運動遊びプログラム
※4 JSPO(公益財団法人日本スポーツ協会) 遊びプログラム[運動遊び]
※5 文部科学省 幼児期の外遊びと小学生の運動習慣・体力との関係
※6 スポーツ庁 子供の運動あそび応援サイト
※7 堀田はるな(著). (2018). 子どもの才能を伸ばす最高の方法モンテッソーリ・メソッド―――「自律した子」の育て方すべて. あさ出版.
※8 北川真理子(著). (2021). いちばんていねいな はじめてのおうちモンテッソーリ. KADOKAWA.
※9 中野貴博. (2023). 子どもの身体活動と非認知能力との関係. 日本発育発達学会, 21(1), 25-31.
※10 菅原洋平(著), 菅原未涼(著). (2018). 脳に任せるかしこい子育て. すばる舎.
※11 株式会社PR TIMES コロナ禍の習い事、習わせたいのは何?出せるのはいくら?運動不足は心配?保育園児の親に徹底調査!
※12 瓜谷大輔, 榊彰裕, 松本大輔, 福本貴彦. (2014). 幼児期の運動能力と運動習慣・生活習慣との関係. 理学療法学Supplement, 0, 1381-.
※13 山下晋, 平野朋枝, 浅川正堂. (2013). 幼児の運動能力の伸びに関わる生活及び環境因子. 岡崎女子大学・岡崎女子短期大学 研究紀要, 47, 25-32.
※14 文部科学省 子どもの体力向上のための取組ハンドブック 全国体力調査によって明らかになったこと
※15 World Health Organization (WHO) 要約版 WHO身体活動・座位行動ガイドライン(日本語版)
※16 厚生労働省 健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023

岡部 美由紀

岡部 美由紀

東京都在住、正看護師ライター。保健医療福祉分野をメインとしながらも、福祉分野(高齢者および幼稚園・保育園)でのインタビューも多数経験する。Webメディアのほか、医療や園教育等に関する書籍でも執筆。理系高校生と小学生を育てる2児の母。

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