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小学校受験対策「運動」編 おうちでできる受験体操のポイントやお受験に特化した体操教室を紹介

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小学校受験で出題されることが多い試験内容のひとつに、「運動」があります。出題傾向や評価のポイントは学校にもよりますが、運動能力や体力が優れているかを見るというより、基本的な運動能力や体の動かし方、一生懸命に取り組む意欲や指示通りに行動できるか(指示行動)などを評価するものといわれています。小学校受験に特化した体操教室もあり、人気を集めています。この記事では、おうちでできる受験体操のポイントや、おすすめの体操教室をご紹介します。

小学校受験で「運動」のテストが行われる理由

体操教室

受験する小学校によって異なりますが、「運動」のテストで評価されるポイントとして、主に次のようなものが挙げられます。

  1. 指示をきちんと聞き取れるか、指示通りに動けるか(指示行動)
  2. 課題に取り組む意欲や自信、集中力、テスト中の態度(行動観察)
  3. 基本的な運動能力
  4. 体幹や姿勢をはじめとする心身の発達 など

高い運動能力や優れた運動技術が求められるというよりも、その子の年齢に合った運動能力があるかどうかや、学校という集団生活にふさわしい協調性やふるまいができるかなど、ペーパーだけでは見ることができない能力を評価する意味合いが強いと考えられています。

特に、試験官である先生のお話をきちんと聞き、指示通りに動けるかどうかは重要で、「指示行動」や「行動観察」の一環として運動のテストが行われる側面もあります。使う道具や順番を待つ場所、待っている間の姿勢など、すべての指示を一度で聞き取って指示通りに行動するためには、理解力や興味関心、集中力が求められます。

また、順番を待つ間も評価の対象です。周囲にちょっかいを出さず落ち着いていられること、ほかの子を応援すること、返事やお礼などのコミュニケーションができていることも大切です。あえて難易度の高い指示を出す学校では、難しい課題に対して子どもがどう向き合い、どう工夫して乗り越えるか、挑戦したけれども失敗してしまったときにどんな反応をするかなども評価されています。

関連記事:なぜ幼児期の運動は大切なの?幼児期における運動の在り方

おうちでできる受験体操のポイント

運動テストの対策として「おうちでも体操を取り入れたい」と考えていても、自宅に思い切り体を動かせる広い空間がないご家庭や、マンションなどで飛んだり走ったりすると騒音が気になるといったご家庭もあるかもしれません。そんなときは、少ないスペースでもできて大きな音が出ない柔軟体操や腹筋・背筋がおすすめです。身体の柔軟性を高めることで、基礎体力の向上や姿勢の改善につながります。最初はそれぞれ3回ずつから始めて、無理のない範囲で回数を増やしていきましょう。

片足で立って10秒間姿勢を維持する「片足バランス」も取り入れてみてください。バランス感覚や集中力を養い、運動テストの課題として出題されることもある「ケンケンパ」の練習にもなります。最初は身体がふらついてしまうかもしれませんが、繰り返し練習することで、片足で立てる時間が長くなっていきます。片足でバランスを取りながら親子でじゃんけんをしたり、マスキングテープなどで囲んだ円から出ないようにしたりと、ゲーム性を持たせるとより楽しく取り組めるでしょう。

お母さんやお父さんの指示に合わせて「座る・立つ」を繰り返す練習もおすすめです。「立ってください」の合図で立ち上がり、「座ってください」の合図ですばやく座ります。立つときは「きをつけ」の姿勢、座るときは三角座りが保てるよう注意しましょう。運動テストでは先生の指示に合わせて座る・立つといった動作をすることが多いので、よい訓練になります。遊びの要素を取り入れるなら、「右手をあげて」や「寝転がって」、「回れ右して」などの指示も混ぜてもよいでしょう。指示を聞き取りすばやく行動するという指示行動の訓練も兼ねられるので、一石二鳥です。

そのほかにも、お母さんやお父さんがお子さまの両足を持ち、両手を床について前に向かって歩く「手押し車」は、よく出題されているクマ歩きの練習になります。ぞうきんがけの姿勢や動作もクマ歩きの訓練になるのでおすすめです。庭や公園など広い場所があれば、ボールつきや縄跳びなどに取り組むのもよいでしょう。

「お手伝い」を通して運動能力を鍛える

おうちでは、普段の「お手伝い」を通して運動能力を鍛えることもできます。

重いものを運ぶお手伝い

例えば、洗濯物が入った洗濯かごや買い物袋など、重いものを両手で持って運ぶ動作は、腕の筋力を高めることにつながります。お子さまにとって重すぎる場合は量を調整し、万が一落としたりぶつけたりしても問題ないものを運んでもらうなどの工夫をするとよいでしょう。

食事が終わった後の食器をお盆にのせて運んでもらうのもおすすめです。自分の食器を下げるのは「自分のことを自分でやる」という当たり前のことにすぎませんが、家族の分も一緒に下げるのであれば、立派なお手伝いといえます。お盆に食器をのせて運ぶ動作は、腕の筋力だけでなく、平衡感覚や姿勢の維持を鍛えられますし、手元の食器と進む方向の両方を見ることで視野を広げる効果もあります。重すぎないように小さいお盆を使ったり、傾いたときに食器が落ちにくいよう滑り止めがついたお盆を用意したりするとよいでしょう。万が一落ちても割れない食器だけを運んでもらうと、より安心です。

もし、買い物袋や食器などを落としてしまっても、失敗したことを責めず、次につながるような声かけをしましょう。

お掃除のお手伝い

もうひとつおすすめなのが、お掃除です。窓拭きや雑巾がけは全身を使うので、体全体の筋肉や体幹を鍛えるのに役立ちます。

窓を拭く動作は、腕や肩の可動域を広げることにつながります。利き手での窓拭きになれたら、両手あるいは非利き手だけでも挑戦してみましょう。窓拭きは届く範囲でよく、低いところをお子さまに任せて、高いところは安全のためにご両親が行うようにしてください。特に、高層階では落下の危険性がないように必ず大人が見守り、外側は拭かせないようにしましょう。

床の雑巾がけは、クマ歩きの訓練にもなります。床に広げた雑巾を両手で押さえ、お尻を高く上げて進めば腕の筋力がつき、お尻を低くすると足腰を鍛えられます。あごを上げ、進行方向を見ながら進むことも重要です。

雑巾絞りも、ぜひお子さまにやってもらいましょう。雑巾を絞る動作は両方の手首をひねる練習になり、握力の向上にもつながります。

習い事としての体操教室と小学校受験に特化した体操教室の違い

おうちでの対策はもちろんですが、プロの講師のもとできちんと受験対策がしたいときは、体操教室に通うことも検討してみてください。幼児教室のなかには受験体操クラスを併設したり体操のカリキュラムを設けたりしているところもありますし、小学校受験に特化した専門の体操教室もあります。

通常の習い事としての体操教室と比べて、小学校受験に特化した体操教室にはいくつかの特徴があります。まず、それぞれの体操教室は目的が異なります。

  • 習い事としての体操教室の目的……基礎体力や運動技術の向上
  • 小学校受験に特化した体操教室の目的……志望校に合格するためのさまざまな能力の獲得

小学校受験に特化した体操教室では、志望校の出題傾向に合わせた対策も行われています。志望校合格が目的ではありますが、単純に運動のテストでよい評価を得るためだけに表面的なことを指導しているわけではありません。基礎的な運動能力に加えて、動きを見てマネする模倣力や、正しい姿勢を保つ姿勢制御力、瞬発力や持久力などを身につけます。さらに、集中力や最後まで諦めない力などの非認知能力にもフォーカスして、受験指導のプロが子どもたち一人ひとりに合わせて指導してくれます。課題を習得するために家庭でできる練習方法などもアドバイスしてくれるので、お受験の心強い味方といえるでしょう。

お受験に特化した体操教室の紹介

最後に、小学校受験に特化したカリキュラムや指導を行っている受験特化型の体操教室を3つご紹介します。

伸芽会 受験体操クラス

URL:https://www.shinga-farm.com/examination/ojuken-taisou/
大手幼児教室の伸芽会では、月謝性の基本コースを受講中の会員限定で受験体操クラスを開講しています。年中児・年長児ともに1回80分のクラスが月3回行われており、片足バランスや腹筋といった基本運動のほか、リズム運動やボール運動、マット運動、平均台などの器具を使った運動を行います。年齢に応じた目標を設定し、志望校合格に向けて一人ひとりの個性に合わせた指導を受けられるのが特徴です。

ジャック幼児教育研究所 体操指導部

URL:https://www.jac-youjikyouiku.com/school/gymnastics.php
元オリンピック選手を講師に招いた小さな体操教室としてスタートしたジャック幼児教育研究所は、受験体操指導の草分けとして「受験体操」の名前を生み出しました。ジャックの体操指導部では受験体操を通して、体操以外でも求められる総合的な力を自然に身につけられます。指示を聞き取り、瞬時に判断して行動へ移すための集中力や指示行動をはじめ、ボール・縄跳び・鉄棒などさまざまな種目に取り組みます。努力して目標を達成することで、運動以外の勉強や生活面にもよい影響があるといわれています。

小学校受験体操専門 自信を育む体操教室

URL:https://fukui-taiso.com/
小学校受験体操専門の体操教室で、最大6名の少人数制またはプライベートレッスンを行っています。代表は、都内体操教室の責任者や伸芽会の受験総合体操教室の指導者などを経験しており、延べ2万人もの子どもたちを指導してきました。東京都港区の広尾教室と、東京都世田谷区の駒沢教室の2教室を展開しており、慶應義塾幼稚舎、慶應義塾横浜初等部、成蹊小学校、暁星小学校を対象としたオリジナルの動画教材も販売されています。

水島 なぎ

水島 なぎ

「書く・編む・正す ことばのよろず屋」を掲げる、フリーランスのライター・編集者。1985年生まれ、京都府在住。同志社大学文学部文化学科美学及び芸術学専攻卒。出版社で資格学習や学参分野のテキスト・問題集を企画編集していた経験をもとに、教育・育児、学術分野などのWebメディアの記事執筆や編集、書籍の編集を手がける。2017年に長女を出産した一児の母。

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