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小学校受験対策「ペーパー」編 ペーパー問題対策の3つのポイントやペーパー学習を嫌がる子どもへの対応も解説

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小学校受験では、図形や数、言語などさまざまな単元のペーパー試験が課されることがあります。幼児教室に通ったりご自宅でプリント学習をしたりして、ペーパー問題対策に取り組んでおられることでしょう。この記事では、ペーパー試験の合格ラインの目安やペーパー問題対策における3つのポイント、お子さまがペーパーを嫌がるときの対応について解説します。

ペーパー試験の主な出題内容

小学校受験のペーパー試験では、さまざまな単元が出題されています。主な出題分野は以下の通りです。

お話の記憶

100~1,000文字程度のお話を聞き取り、その内容に合う回答を選択する問題です。イラストを見て答えさせる「図の記憶」が出題されることもあります。

言語

しりとりや反対言葉、擬音語・擬態語などさまざまな内容が出題されます。イラストを見てお話を作る「作話」が出題される学校もあります。

図形

空間認知能力や観察力を問うもので、平面や立体、線や展開図などさまざまな図形が出題されます。さらに細かい単元としては、同形発見、回転図形、鏡図形、重ね図形などに分けられます。立体図形を四方から見たときの形を答える「四方観察」も含まれます。

ものの数を数える計数のほか、数の比較、数の増減、数の分割(分配)などの単元が出題されています。

常識

動植物や道具、乗り物などの知識をはじめ、野菜や果物の旬、季節ごとの行事・イベントなどが出題されます。正しいものを選択したり、正しい順番に並べ替えたりする回答形式が多いです。

ペーパー試験の合格ラインは何割くらい?

小学校受験はペーパー試験の点数だけではなく、行動観察や運動、絵画・工作(巧緻性)、面接などを総合的に評価して合否が決まります。そのため、中学校受験や高校受験、大学受験などとは異なり、小学校受験では合格者の平均点や合格ラインなどは公開されていません。
しかしながら、受験対策を長く続けている幼児教室には過去の試験の情報が集まっています。幼児教室の先生方によると、学校によってはペーパー試験で8~9割以上もしくは満点に近い点数が求められているといいます。

ただし、気をつけたいのが、「ペーパー試験で満点さえ取れればいい」というわけではない点です。先述したように、小学校受験はほかの試験内容も合わせて総合的に評価されるからです。ペーパー試験でおそらく満点が取れているにもかかわらず、行動観察で成果を出せなかったために不合格になってしまうケースや、逆に、ペーパー試験ではミスがあったけれども行動観察で評価されて合格できたケースなどもあります。ペーパー問題対策だけでなく、行動観察や運動、絵画・工作、面接などの対策をまんべんなく進めることが大切です。

「具体物」「聞く力」「時間感覚」がペーパー問題対策のコツ

ペーパー試験には、お話の記憶、図形、数、常識、言語などさまざまな出題分野があります。どの出題分野にも共通するペーパー問題対策として、「具体物」「聞く力」「時間感覚」があります。詳しく解説します。

ドリルやプリントだけでなく具体物を使って学ぼう

ペーパー問題対策は、問題集を購入したり、ドリルやプリントに取り組んだりするイメージが強いかもしれません。しかし、机に向かってプリントを解くだけでは伸び悩んでしまうことがあります。多くの幼児教室では、おはじきや積み木、ブロックやパズルなどの具体物を使った学習を取り入れています。

例えば、おはじきを使って「1、2、3……」と指さしながら数えることで、数を順番に正しく数える練習になります。同じ数を探す「同数発見」や、足すと10になる数を見つける「数の構成」などの単元も、具体物であるおはじきを触りながら考えることで理解が深まります。
また、積み木遊びを通して空間認識能力や観察力を養うこともできます。隠れている積み木の数を推測する「立体図形」や、異なる側面から立体図形を見たときの見え方を問う「四方観察」などの単元は、実際に積み木を触り、さまざまな方向からながめるという体験を通して学んでいきます。

このように、プリント上で問題を解く前にさまざまな具体物によって実験や体験を重ねることが大切です。子どもたちにとって具体物を使った学びは遊びの延長という感覚なので、学ぶことは楽しいことだというイメージがつき、ペーパー対策にも前向きに取り組みやすくなります。具体物を使って単元の理解が深まったら、何も使わずペーパー上だけで解けるように練習していくのがおすすめです。

問題や指示を聞き取る「聞く力」を育もう

小学校受験のペーパー試験は、暗記力や知識量が評価されるというよりも、自分の頭で考えて問題を解く「理解力」や「思考力」が評価されるような出題が多い傾向にあります。また、小学校受験においては受験者である子どもが問題文を読んで解くことは少なく、試験官である先生が問題文を読み上げるため、話を聞いて理解する「聞く力」も重要です。
これはペーパー試験に限りません。運動や絵画・制作、行動観察においても先生の指示をきちんと聞き取れているかどうかが重要となるため、正確に指示を聞き取り行動できるようにしておく必要があります。

幼児教室や幼稚園・保育園で先生のお話をしっかり聞き取れるかどうかも大切ですが、「聞く力」を育むためにご家庭でもできることはあります。
まず、大事な話をするときはおもちゃやテレビに集中している時を避け、きちんと注目させてから話しましょう。幼稚園・保育園から帰宅した後の時間を活用し、お母さんやお父さんの指示を聞き取って行動する練習をするのがおすすめです。例えば、
「このテレビを見終わったら、お風呂に入るよ」
「この絵本を読み終わったら、トイレに行ってね」
など、少し先の見通しをあらかじめ伝えます。お子さまが指示通りに行動できるかどうか見守ってください。なかなか行動に移せない様子であれば、
「さっき、(お母さん・お父さんが)なんて言っていたか思い出してね」
と声をかけます。指示をする、聞き取る、行動するということの繰り返しで、注意深く指示を聞き取れるようになっていきます。

お手伝いや約束ごとについて話すときは、「一度しか言わないからよく聞いてね」とあらかじめ伝えておくのもよいでしょう。最初は一度で聞き取れないかもしれませんが、聞き返されるたびに何度も答えていると、「聞く力」はなかなか育ちません。一度できちんと聞き取れるよう、日ごろからメリハリのあるコミュニケーションを心がけてみてください。

制限時間内に解けるよう練習しよう

制限時間

幼児教室では、ペーパー問題を解くときに制限時間を設け、「始め」「やめ」などの声かけをします。また、市販されている問題集にも、解答の目安として制限時間が書かれていることがあります。ご家庭でプリントを解くときも、最終的には制限時間内に解けるように練習しておくとよいでしょう。
まだ時計が読めないお子さまには、アナログ時計を用意してあげましょう。「今は長い針が3だから、6になるまでに解いてみようね」などと声をかけると、問題を解くのに必要な時間の感覚をつかみやすくなります。

ただし、最初から「早く解くこと」だけを目標にしないよう注意しましょう。「早く解かなきゃ」と焦ってしまったり、勘に頼ったりするだけでなく、線や丸を丁寧に書く習慣が身につかないためです。まずは単元について理解し、問題形式に慣れることを意識して学習を進め、ある程度理解が深まったら制限時間内に解く練習へとステップアップします。実際の試験形式に近い模試を受けるのもおすすめです。

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ペーパー問題対策を嫌がるお子さまへの対応

大手幼児教室の理英会によると、小学校受験に臨む年長の子どもたちが1日に取り組むプリント枚数は平均13.8 枚、入試直前になると平均22枚以上にものぼるといいます。※1
さらに、ペーパー問題対策以外にも運動や絵画・工作、面接の準備など試験対策は多岐にわたります。小学校受験対策は年間を通して取り組むため、なかには途中でやる気をなくしてしまうお子さまもいます。特に、ペーパー問題対策は机に向かって問題を解くことが多く、運動や絵画・工作などと違って楽しみが少ない分野なので、苦手とするお子さまも少なくありません。

お子さまがペーパー問題対策を嫌がる理由はさまざまです。

  • 苦手な分野や単元ばかりでつまらなく感じるから
  • 問題の難易度が合っておらず、達成感を感じられないから
  • ペーパーばかり解いていて楽しくないから

そのほかにも、机に向かう勉強ばかりでリフレッシュできる時間がなかったり、問題が解けないことを叱られたりすると、お子さまの勉強に対するモチベーションは低下してしまいます。

ペーパー問題対策を嫌がる時期には、勉強の環境を整えたり、おやつなどのごほうびを用意したりと工夫してみましょう。また、お子さまと一緒にお母さん・お父さんが問題を解くのも、「自分だけがやらされている」と感じることがなくなるためおすすめです。
大切なのは、「1日何枚やらなきゃダメ」とノルマを決めたり、「あの子はもっとできているよ」とほかの子と比較したりしないことです。モチベーションが低い時期は得意な問題に取り組み、自信をつけることを優先するのもよいでしょう。目の前にいるお子さまの今の様子をよく観察し、遊びと勉強のメリハリを作りながら、気持ちよく勉強に取り組めるよう工夫してみてください。

伸び悩んだときは焦らず、ときにはリフレッシュも

毎日コツコツと続けることがペーパー問題対策においては重要ですが、伸び悩んだときも必要以上に焦る必要はありません。学習の効果は学習時間に必ずしも比例するわけではなく、一時的に停滞することもあるというのが、「学習曲線」によって示されています。学習曲線について知り、今お子さまがどの時期にあるのかを把握できれば、焦りを感じなくて済みます。

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プリントや問題集に取り組むお子さまの様子を見ながら、勉強法や勉強の環境を変えてみるのもよいでしょう。ときには勉強をお休みして、思い切りリフレッシュすることも大切です。

参考資料

※1 理英会 小学校受験に合格するための家庭でのおすすめ勉強法~小学校受験を経験した保護者に聞いてみた~

水島 なぎ

水島 なぎ

「書く・編む・正す ことばのよろず屋」を掲げる、フリーランスのライター・編集者。1985年生まれ、京都府在住。同志社大学文学部文化学科美学及び芸術学専攻卒。出版社で資格学習や学参分野のテキスト・問題集を企画編集していた経験をもとに、教育・育児、学術分野などのWebメディアの記事執筆や編集、書籍の編集を手がける。2017年に長女を出産した一児の母。

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