
小学校受験におすすめのアプリは?学習アプリのメリットやデメリットについても解説
学習アプリはデジタル時代の学習ツールとして注目されており、大手幼児教室からもさまざまなアプリが配信されています。学習アプリにはさまざまな利点がある一方で、使用にあたっては注意点もあります。子どもの学習環境を最適化するための活用法やおすすめのアプリについて解説します。
学習アプリの5つのメリット
学習アプリには、以下のようなメリットがあります。
個別対応
学習アプリは、子ども一人ひとりの学習ペースや興味を考慮して難易度や分野を変えることができます。今の学習段階に合わせた適切なレベルで学習でき、苦手分野の克服にも役立ちます。
視覚的・聴覚的刺激
学習アプリは、カラフルな画像や楽しい音楽、アニメーションで子どもの関心を引き付けるよう工夫されています。学びながら遊ぶ感覚で、無理なく継続的に取り組むことができるため、学習習慣の形成を助けます。
アクセス性
筆記用具やデスクがない場所でも手軽に学習できるため、日常生活だけでなく移動中や旅行先でも学びの時間を増やすことができます。
読み上げ機能
小学校受験では、録音された音声を再生するか試験官が読み上げる形で問題が出題されます。テキストの内容を音声として聞くことができる読み上げ機能がある学習アプリを使えば、試験問題の聞き取りの練習にもつながります。幼児教室の先生やお父さん・お母さん以外が読み上げる音声に慣れる機会となります。
タブレットへの慣れ
文部科学省はICT教育を推進しており、各教科において1人1台端末を活用するなどして「主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善につなげる」ことを掲げています。※1
公立小中学校における端末の利活用状況を調べた文部科学省のデータによると、全国の公立小学校等の96.1%が、全学年または一部の学年において授業に端末を導入しています。※2
小学校に入学後、学習やコミュニケーションツールとしてタブレット端末を使用する場面が増えてきています。早い段階から慣れておくことで、後の学校生活をスムーズにする助けとなるでしょう。また、一部の小学校では小学校受験の際にタブレット端末を使って出題するケースもあります。前もって慣れておくことで、試験時のストレス軽減につながります。
学習アプリの3つのデメリット
このようにさまざまなメリットがある一方で、学習アプリにはいくつかのデメリットもあります。
体への負担や生活リズムへの影響
スマホやタブレット端末を長時間使用すると、子どもの眼や首、肩などに負担がかかってしまう可能性があります。また、子どもの日常の生活リズムや睡眠の質にも影響を及ぼすことも懸念されます。タブレット端末などでアプリ学習をするときは、時間制限を設けることが大切です。
実際の体験の欠如
具体物を使った生の経験をすることの価値が疎かになる可能性があります。例えば、ペーパー試験で頻出の「積み木」を使った問題もアプリを通して学習はできますが、具体物としての積み木を実際に手に取り、遊びながら学ぶことでより理解が深まります。
また、実際のペーパー試験では紙と鉛筆を使用して回答します。学習アプリに多い、選択肢をタップしたりスワイプしたりして回答する方法は、実際の回答方法試験とは異なるので注意が必要です。アプリにも書き込み機能はありますが、鉛筆で紙に書いたり消しゴムで消したりすることにも慣れておくようにしましょう。
依存性
学習のためにと用意した学習アプリであっても、子どもがアプリの楽しさに夢中になり、実生活やその他の学習活動が疎かになってしまうリスクがあります。時間制限と同様に、ルールを設けることが重要です。
小学校受験のおすすめアプリ
小学校受験対策に役立つおすすめアプリをご紹介します。ご家庭で導入する際は、対応OSや対象年齢を確認し、制限時間やルールについて話し合ってから取り入れるようにしましょう。
できましたっち!ジャック小学校受験ペーパー問題集アプリ
小学校・幼稚園受験で屈指の合格実績を誇るジャック幼児教育研究所のノウハウを詰め込んだ問題集アプリです。
・配信会社:株式会社ジャック・クリエイツ
・対応OS:iOS
・対象年齢:4歳以上
・問題数:最大3,900問(問題集20冊分に相当)
・分野:「数量」「図形」「言語・常識」「推理・思考」
なお、4分野すべてを購入すると、特典として「記憶」の問題も利用できます。全問セット購入は4分野を個別に購入するよりもお得です。
・その他の特徴
分野・項目・難易度ごとに正答率を確認できるので、苦手分野の分析に役立ちます。また、出題順および選択肢の配置がランダムに変わるため、答えの位置を記憶してしまう心配がなく、繰り返し学習にも適しています。
・料金:ダウンロード無料で200問以上の問題を利用可能
App内課金
全問セット:¥29,800
図形問題:¥8,000
数量問題:¥8,000
言語・常識問題:¥8,000
推理・思考問題:¥8,000
ひとりでがんばりマスター
幼児教育のパイオニア「こぐま会」の監修による、こぐま会の人気オリジナル問題集「ひとりでとっくん365日」のアプリです。
・配信会社:株式会社久野泰可教育研究所
・対応OS:iOS・Android
・推奨年齢:4・5・6歳
・問題数:全8巻1,700問(「ひとりでとっくん365日」01〜12の合計360問の、約5倍もの問題を収録)
・分野:「未測量」「位置表象」「数」「図形」「言語」「分類」「推理」「記憶」「常識」「聞き取り」
なお、各分野について「おすすめ」「れんしゅう」「しゅぎょう」「ちょうせん」という難易度別の4つのモードがあります。
・その他の特徴
使いすぎ防止機能として、10分間隔で60分まで設定可能です。なお、問題回答中に中断した場合はすべての回答を終了した後に表示されるため、集中力を途切れさせません。また、学習履歴機能のなかにある保護者向けの「学びのアドバイス」から、問題の狙いや教え方のポイントなどを確認できるので、家庭学習に役立ちます。
・料金:ダウンロード無料でおためし0巻を利用可能
アプリ内課金
各巻1,200円(税込)
全8巻セット7,900円(税込)
2〜8巻セット7,200円(税込)
シンクシンク
シンクシンクは、さまざまなアプリ教材やSTEAM教育の通信教育サービスなどを開発する「ワンダーファイ株式会社」によって制作された、「思考センス」を育むアプリです。空間認識や論理思考など、考えるための土台となる力を育むことができ、世界150ヶ国で累計ユーザー数300万を突破しました(2024年6月現在)。さまざまなパズルや論理問題を収録しており、子どもたちが楽しみながら学ぶことができるよう設計されています。
•配信会社:ワンダーファイ株式会社
•対応OS:iOS、Android、FireOS
•対象年齢:4歳~10歳
•問題数:120種類以上、20,000題以上
•分野:「空間認識」「平面認識」「試行錯誤」「論理」「数的処理」
その他の特徴
シンクシンクは最大でも1日10分(3問)までの制限つきで、アプリのやりすぎを防ぎ、集中力も養います。また、JICAおよび慶應義塾大学と共同で行われた、カンボジアの小学1~4年生1,636を対象とする実証実験によると、算数の成績やIQスコアにも大きな効果があることが確認されています。
料金:ダウンロード無料(アプリ内課金)
スタンダードコース:月額450円(収録問題数は100種類以上、プレイ可能な惑星は3つ、最大3ユーザー)
プレミアムコース:月額980円(収録問題数は100種類以上+高度な思考力問題、プレイ可能な惑星は5つ、最大6ユーザー)
アプリの詳細についてはこちら:シンクシンク
ダウンロード(iOS)
ダウンロード(Android)
ダウンロード(FireOS)
さんすう思考力プラス
さんすう思考力プラスは、乳幼児や小中高生向けの通信教育事業を展開するベネッセが提供する算数教育アプリです。「こどもちゃれんじ」の学習ノウハウを活かした、基礎から応用まで幅広い問題が揃っています。
- 配信会社:株式会社ベネッセコーポレーション
- 対応OS:iOS、Android
- 対象年齢:2歳~小学2年生
- 問題数:29種類・10,000問以上
- 分野:数、論理、図形
その他の特徴
直感的な操作で、子ども一人でも取り組むことができます。数・論理・図形のテーマを網羅しており、収録問題数は29種類・10,000問以上もあります。子どもの理解度に応じた先取り学習も可能で、保護者は学習の記録を確認できます。クリアするともらえるごほうびをコレクションでき、子どものモチベーションアップにつながります。
料金:ダウンロード無料(アプリ内課金)
シングルプラン:月払いの場合は1,280円/年払いの場合は一括払い8,880円(トレーニング数無制限、ユーザー数は1人のみ)
ファミリー割プラン:月払いの場合は1,780円/年払いの場合は一括払い11,300円(トレーニング数無制限、ユーザー数は4人まで)
※「こどもちゃれんじ」を受講していなくても利用することができます。なお、アプリストア内の購入とWebでの購入の場合は料金が異なる場合があります。
アプリの詳細についてはこちら:さんすう思考力プラス
ダウンロード(iOS)
ダウンロード(Android)
小学校受験における学習アプリの位置づけ
学習アプリは便利で効果的ですが、具体物による学びや生活リズムと適切にバランスをとりながら使用することが大切です。小学校受験の試験は紙で行うので、紙と鉛筆に慣れることも欠かせません。それもあって、今のところ小学校受験関連のアプリの数は限られており、紙教材が主流となっています。学習アプリはあくまで補助的なツールとして、移動中や旅行先などで学習習慣を維持したり、紙教材の学習をサポートする形で利用したりするのに適しています。また、正答率の分析機能を活用して苦手分野を克服したり、学習のバリエーションを増やしたりするためにも活用できます。紙教材の学習とデジタル学習を適切に組み合わせることで、子どもの成長と学びの質の向上をサポートしていきましょう。
関連記事:小学校受験対策「ペーパー」編 ペーパー問題対策の3つのポイントやペーパー学習を嫌がる子どもへの対応も解説
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参考資料
※1 文部科学省 各教科等の指導におけるICTの効果的な活用について
※2 文部科学省 GIGAスクール構想に関する各種調査の結果